第94回:マスコミュニケーション(その6)

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 今回のテーマは、「ネット配信記事は有料か無料か」。

 新聞もあまり読まないし、テレビのニュース番組もそれほど観ない。でも、「mixiニュース」なら見る。そういった若者が、ここ最近増えている。また若者に限らず、ビジネスマンや主婦の間でも、「ニュースはネットで」という人が増えているようだ。通勤途中に携帯電話で見たり、家事や育児の合間にパソコンで見たり、時間と場所を選ばず、自分の読みたいニュースだけを手早くチェックできるのは非常に大きなメリットである。

 そのような傾向を受け、各社ともニュース記事のインターネット配信に力を入れ始めた。多くの新聞社が無料で配信しているが、取材費やサイト運営費、本紙との兼ね合いを考えると、「有料化」についても考えなければならない。有料ならいくらが妥当か、どのような料金体系にするべきか、といった点について、各学生が意見を出した。私が書いた記事は以下の通り。

 『ネット配信記事は無料であるべきだ。理由はいたって単純で、無料の配信サイトがすでに数多く存在している現状において、ユーザーがわざわざ有料の方を選ぶとは思えないからである。ユーザーがネットに対して最も期待していることは、「利便性」である。スピード感などと並んで、「無料」というのは非常に大きなポイントなの だ。仮に有料にしたとしても、その金額に見合うだけの付加価値をつけなければならず、さらに時間とコストを 要する。では無料にした分、運営費はどこから得るか。私は、「ライターがお金を払うシステム」を提案したい。まだ名前の知られていないコラムニストやエッセイストが、自らを「売り込む」ための場として、お金を払ってサイ ト上に記事を掲載するのである。現行のネット配信システムも、各新聞社などのメディアのいわば広告塔となっている。サイトのすべてではなく、一部のスペースを売り出すことによって収益を得るのである。』

 iPadの登場によって、ネット配信の需要は今後さらに高まっていくだろう。

慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅