第96回:地球環境技術論(その2)

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今回は「温暖化」について。

地球温暖化とは、人間活動によって大気中に放出される温室効果ガスにより地球全体の気温が上昇することである。温室効果(green house effect)、気候変動(climate change)などとも呼ばれ、原因の幅広さや影響規模の大きさ、対策の困難さの視点から見ても、最も重要な環境問題のひとつである。

授業内ではこの温暖化の現象を実感する為に、次のような簡単な実験を行った。頬の近くに手のひらを近づけると、ほんのりと熱を感じる。次に、ビニールの手袋をはめて同じことをする。するとどうなるか。熱が閉じ込められ、より暖かく感じる。これが、温室効果と呼ばれる原理である。これによって、平均気温の上昇が起こり、その結果降水に変化が起きたり、風の流れが変わったりといった「気候変動」が起こるのである。

ゴア氏の指摘する「10の脅威」を例に見てみると、気温上昇や降雨、北極の氷の融解などの「気候の変化(第3次影響)」が、ハリケーンや海流の変化、森林破壊などの「自然環境の変化(第4次影響)」につながっている。熱波による熱中症や突然死が増えたり、マラリアなどの感染症が拡大するなど、私たち人間への被害も計り知れない。

数値として見ると、地球全体の平均気温は過去40年間で0.2〜0.3℃、19世紀後半に比べると0.3〜0.6℃近く上昇している。降水量も20世紀中に1%増加、降雪量はカナダ北部で20%増となっている。ひとつひとつの数字を見る限りでは、あまり大きな印象は受けず、「その程度のレベルなのか」と思うかもしれない。しかし地球という、母体数が非常に大きいことを考慮すると、数字としては小さな増加でも、非常に大きな影響を与えるのである。

ちなみに21世紀中には、地球の平均気温は1.4〜5.8℃上昇すると言われている。「平均気温が2℃上がることは、あなたは脅威だと感じるか」という質問が、授業の最後に聞かれた。一人一人の意識改革が、何よりも求められている。

慶應義塾大学 環境情報学部 水谷 晃毅