「3匹のこぶた」の建築学的考察
1番上の豚は、藁の家を建てた。
2番目の豚は、木の家を建てた。
3番目の豚は、レンガの家を建てた。
オオカミに襲われ家を木っ端みじんにされた上の2匹は、3番目の豚が苦労して建てた頑丈なレンガの家に逃げ込んで事無きを得る。
目先の損得に飛び付くことなく努力をすることの大切さを説く有名なこの童話であるが、建築という観点から考えると違った世界が見えてくる。
確かにレンガの家は頑丈だ。我々が日常的に体験している地震や台風に対応するためであれば、きっとレンガがベストだ。ちょっとやそっとのことでは被害がゼロだからだ。けれどもレンガの建物をも壊す位の天災が起こった時、被害が一番大きいのはきっとレンガの建物だ。建て直すのも恐らく一番大変だ。そんな災害の時には藁の家も必ず壊れるだろうが、壊れた時の被害は恐らく一番少ないし、建て直すのも簡単である。武田信玄が増水した川の水を敢えて逃がす堤防を作ったように、「エジプトはナイルの賜物」と呼んで古代エジプト人がナイルの氾濫と付き合ったように、被害をゼロにしようとしない方がいいケースもある。日常を快適に過ごすことの優先順位が高いのはもちろんだが、それ以外にもモノサシはきっとある。
私たちは全てのリスクを織り込んで生活をすることなどできない。今回の地震だって、実際に起こってしまった後は色々なことが言える。もちろん今後に活かされなければいけない教訓も沢山ある。けれども、「1000年に1度」にどこまで備えるべきなのかは難しいところだ。休火山の噴火、巨大隕石の落下、大地震、地球にこれまで何度も起こってきた全ての天災を予め想定して手を打つなんてコストが高すぎるし、そもそも完全に対応するのは不可能だ。だからこそ、私たちが意識すべきリスクはどこまでかというコンセンサスが大切になる。
今回の震災は、今の日本にあった建築物や街の形、社会のあり方はどうあるべきなのか、ということを考える好機でもある。私たちはこの震災を本当の意味で明日に繋げなければならない。目の前の傷を直視することは不可欠だが、それに引っ張られ過ぎると本質を見失う。自分たちにとって大切なもの・必要なものを冷静に考えていきたい。
レンガの家は絶対的なゴールではない。
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人の成長を支援する「洋々」GM。経営コンサルティング会社A. T. Kearneyにて、Managerとして金融機関を中心に数多くのコンサルティングを手掛ける。また、採用担当者として多くの面接を行うと共に、コンサルタント向け研修プログラムの作成、実施にも深く関わる。金融専門誌への執筆多数。慶應義塾大学経済学部卒。ミシガン大学ビジネススクール・MBA Essential program修了。