大阪と民主主義

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大阪都構想が一万票差、得票率にして0.8ポイント差で否決された。
個人的には橋下さんたちの大健闘だと思う。見えない大きな変化があるかもしれないことへの恐怖心や、自分たちの呼び方が変わることへの郷愁も味方して、もっと大差がつくと予想していた。ある意味無責任な部外者としては、新しい形ができる瞬間に立ち会えなかったのは残念ではある。が、大きな注目を集めた先の市長・知事のダブル選挙をも大幅に超える67%の投票率に表れているように、大阪市民の皆さんの多くが真剣に考えた結果である。この先の動きを楽しみにしたい。

民主主義では、多数決で最終的な形が決定される。だが表面的な「勝った、負けた」の結果以上に、多数決に至るまでの過程が重要である。盛り上がらない議論のまま取った決など、その集団を構成する人たちにとっては大切なことと思われていないからだ。学問的な定義は種々あれど、民主主義とはその集団の構成員が自分たちで自分たちの未来を決めることである。誰かに丸投げするのではなく、一人一人が自分のこととして自分たちのことを考え、議論を巻き起こし、合っているか間違っているかわからなくとも自分のポジションを表明した上で結果を受け入れる。これがきっと民主主義の本質だ。

既得権益を守るゴリゴリの保守と「これまで」への敬意を払わない不遜な人たち、という単純な二元論でこの話を終わらせてはならないし、実際そうではないはずだ。自民・民主だけではなく共産まで含めて共闘していた今回の選挙戦には違和感があったし、センセーショナルな言葉に目を奪われ、5年の歳月をかけたにしては、橋下さんたちの構想がどこまで正確に市民に伝わっていたか、という点にも疑問が残る。が、あえて都構想という当時のほとんどの人にとって真新しい打ち手をぶち上げたことで、大阪が他の都市と比較しても大きな問題を抱えていること、なんらか変わらなければならないという意識を、多くの大阪市民が持ったことは大きい。都構想が実現されなくとも、きっと大阪はいい方向に変わっていくはずだ。

もし憲法改正が国会を通過すれば、国民投票が課される。これを多数決とっておしまい!という形だけの民主主義にしてはならない。一人ひとりが「自分ごと」としてこの問題をとらえ、多様な立場からの意見を出し尽くし、自分と異なる意見も理解した上で、ポジションを取ることが大切。結果はどうなろうとも、それが私達の未来を作る唯一の方法と信じる。

民主主義国家の恩恵にあずかる者の一人として。


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人の成長を支援する「洋々」GM。経営コンサルティング会社A. T. Kearneyにて、Managerとして金融機関を中心に数多くのコンサルティングを手掛ける。また、採用担当者として多くの面接を行うと共に、コンサルタント向け研修プログラムの作成、実施にも深く関わる。金融専門誌への執筆多数。慶應義塾大学経済学部卒。ミシガン大学ビジネススクール・MBA Essential program修了。