第69回:世界初就航は日本で!B787
世界初就航は日本で!B787
最新鋭機ボーイング787の世界初就航は日本においてであった。
それはローンチカスタマー(最初に運航する航空会社)がANAだからであるが、
機体製造の35%を日本企業が担っている意味でもB787の意義は大きい。
機体材料の50%を占める炭素繊維は東レが独占提供していて、三菱重工業、川崎重工業、富士重工業などが機体の一部を生産している。トイレも日本製だ。
■技術開発は継続が不可欠
純国産とも言えるB787であるが、
ヨーロッパのエアバス、アメリカのボーイングに航空機産業独占されてきた歴史を振り返ると第二次世界大戦で零戦を作りあげた技術力があった日本が航空機産業の中心になれなかったのはアメリカが日本の技術力を恐れて戦後統治下で航空開発を禁じられた歴史があるからだ。
国産旅客機YS-11や現在三菱航空機のMRJがあるが、まだまだ日本が航空機産業の中心であるとはとても言えない。
零戦の技術者らが航空機の開発を出来ないので0系新幹線の開発の担い手になったのも有名な話であるが、そのくらい技術者というのは継続的に育てないと昨日今日で育つわけでもない。
■原子力技術者
東日本大震災とそれに伴うフクシマ原発事故で日本の電力政策、原子力発電所の今後が議論されている。再生可能エネルギー普及に尽力してきた私にとっても原子力発電に問題があったとは思うが完全に廃止することは安全保障の観点からも難しいと思った。
原子力の技術者は必要であり、ゼロから育てるのは非常に困難になる。こうやってまた自分の立場をはっきり出来ないもどかしさもありながら考えている所です。
今年4月にアメリカ・シアトルのボーイング・エバレット工場でたくさんの生産されているB787を見ました。ANAやJAL塗装機もたくさんいましたので、近いうちには日本でも頻繁に見られるようになるでしょう。国際線の新規路線開設も楽しみです。
■写真
1枚目=日本勢ANA/JALのB787(シアトルのボーイング・エバレット工場にて)
2枚目=ドリームリフター 名古屋からシアトルまでB787の翼を運搬する特別機
3枚目=B787のロールスロイス製エンジンの紹介
■参照
ANA B787プロモーションサイト
http://www.ana.co.jp/promotion/b787/mwj/
慶應義塾大学 法学部政治学科 井上貴史