第26回:慶應SFC AO入試の志望理由書6~志望理由書に書くべきこと~
志望理由書の6回目です。
次は2“解決案による差別化”に移りたいと思いますが、その前に、省略した「志望理由書には具体的に何を書かなければならないのか」にふれようと思います。
志望理由書に書くべきことを大きく言うと
(1)今までどういったビジョンを描きどうアクションしてきたか。
(2)(1)の中で、何を感じ、さらにどう次のアクションにつなげてきたか。
(3)これからどういったことをしていきたいか。(大学内外含めて)
(4)(3)による社会的意義は何か?(誰が幸せになるのか?)
(5)(3)は何故あなたがしなければならないのか?
(6)(3)を実現するためにSFCはどういった位置づけであるか。
こうなります。「大学でやりたいこと」を中心、最終目標とおきがちな志望理由書ですが、AO入試はあなたを「一人の人間」としてとらえます。
これから、何をしていきたいか(かならずしも明確である必要はなく、こういったことを行いながら、選ぶ、見つけていくという姿勢でも大丈夫です。)をイメージし、その中の1ツールとしてSFCをとらえていくようにしましょう。
また、SFC AO入試は「将来コンペ」や「ビジネスコンテスト」ではなく、あなたを見る入試です。
よく自分の専門としたい分野の知識をふりまき、練りに練られた解決策を志望理由書全般にわたって提示する受験生もいますが、それでは「あなた」の姿は見えてきません。
私の場合、解決策などは自由記述欄か添付資料でまとめて、志望理由書にはまぎれもない“あなた”を示す(1)、(2)を詳しく書くことをお薦めします。
(1)、(2)を書くにあたって、必ずしも「実績が残っている」ものである必要はありません。大切なのはいかにあなたが、戦略的に、さらにできれば“人のために”動いてきたかになります。
繰り返しになりますが、SFCはあなたのキャリアデザインを描く1ツールでしかありません。志望理由書には、SFCでやることの他に、こういったこともやりたい、こういったことにも将来つなげていきたいと書くといいでしょう。
先日、「October Sky」という映画を知り合いの方に薦められてみました。ノンフィクション映画です。(以下少しネタばれしてしまっているのでこれから見ようと思っている方はここでストップしてください!)
主人公のホーマーは、大学に行かずに炭鉱で働く運命にありながらも、自らロケットを仲間と共に作り、打ち上げ、それが認められて、全米の大会で優勝、奨学金により大学へ行くことができた、という物語です。
ロケットを打ち上げた彼らの本当の魅力は、自分達だけではなく、他の人の夢、あるいは「頑張れば何だって実現できる」という希望をのせて、ロケットを打ち上げていたことであったと思います。
AO入試を受ける=キャリアデザインを形成するにあたって、まず自分の興味から入っていく、自分のやりたいことをやることは大切です。しかしながら、そこに「誰か他の人のために」という強い気持ちが入ったとき、その夢は輝きを増し、より多くの人の支持を得られるものとなります。
そして、“情けは人のためならず”は決して嘘ではありません。人のために動いている時、本当に幸せなのは紛れもない自分です。
“自分のやりたいこと”は一体誰のためのものとなっているのか、もう一度見つめなおしてみてください。ただ、興味がある、好きである、有名になりたい、大きくなりたい、それだけで進んでいては、ある日熱が冷め、結局自分は何がしたかったのか分からなくなる日がきます。
やっていることの先に、誰かの幸せを求めたとき、夢はいつまでも熱く燃え続けます。
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