第96回:これからのAO入試(3)
(前回の続きです。)
AO入試予備校の全国化
恐らく、AO入試が全国化していく主な原因となるのは、AO対策予備校・塾の拡大であることは前回述べました。それではそもそも、AO対策予備校・塾が全国に生まれることはあるのでしょうか?
ここ関東におけるAO入試対策予備校・塾の始まりは、もともと少し推薦対策をしていた場所が、AO入試の大幅な定員増加による受験者増加により、大きなニーズを得るようになり、AO・推薦対策予備校・塾として本格化し始めたもの、キャリア教育一般的に関わろうとしていた場所がもっとも市場の大きかったAO入試市場と密に結びついていったもの、こういった起源によるものが多いようです。
とすると、もし関西やその他の地域にそういった変化を及ぼすほどの市場がなければ、本格的なAO入試対策予備校・塾の自然発生は見込めません。あるいは、ここ関東の方が、洋々さん含めた新しいビジネスを始めていこうとするアントレプレナーが多いとしたら、そういった市場を受け入れる土壌がそもそもなく、対策の機能は各高等学校に吸収されたままになっているのかもしれません。AO入試が始まって20年も経っていることを考えると、誰も何もしなければ、AO対策予備校・塾の全国化は起こらず、現状のままであることが予測されます。是非誰か、AO入試対策の地方開拓における先駆者となってみてください。
全国化すると・・・
仮にそういったアントレプレナーが現れ、全国に対策予備校・塾を創り出していくと仮定します。その人一人で、全ての地方を開拓することは難しいかもしれませんが、その人の成功により、小規模に対策を行っていた予備校や塾や、新しいビジネスを始めようと思っている人も、開拓を始めていき、全国化は加速するものと考えられます。それでは、もしAO入試が今よりも全国的に認知され、受験されるようになるとどのような変化が起こるのでしょうか?
単純に考えて、まず思い浮かぶのは受験者倍率の増加による試験の難化です。それまで、十分な実績(実績だけの入試ではありませんが)がありながらも、AO入試という選択肢に触れてこなかった人が受験するということは、それまで受かっていた人でも落とされることを意味します。また十分な実績がない人の受験も増えるとなると、大きな集団の中から「自分」を差別化しアピールしていくことは、今よりも難しくなります。
試験は難化するけれども、倍率は、受験生も「受かる見込みがないのに出さない」ので安定するということも考えられますが、AO入試という誰でも受けられる入試であることや、大きな実績がなくても受かる人の武勇伝が語られやすいこと、受験生が相談してきた時に「受験しない方がいい」とは言えず、肯定的な意見を相談役は言ってしまいがちなことを考えると、受験をやめる受験生は少なく、今よりも倍率は大きく膨らむことも予想されます。
ただ、多くの高等学校は保守的なところが多いために、現在AO・推薦に力を入れていたとしても、試験の難化により、生徒に受験を拒ませるようになる高等学校が増えていくことも考えられ、そういった高等学校と受験を勧める予備校の間で起こるせめぎ合いは今以上のものとなるかもしれません
(次回へ続く)
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