本当のマニフェスト

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民主党政権が正念場に立たされている。昨夏の総選挙で、自民党型政治からの転換を掲げて国民の圧倒的な支持を集め、民主党は大勝した。しかし、マニフェストを始めとして民主党が掲げた「公約」の実現はいまだ不透明なものが多い。例えば、高速道路の無料化については限定つきでの実現になりそうである。普天間基地の県外移設についても出口が見えない。そして昨夏選挙における民主党マニフェストの最大の目玉であった、2011年度から月2万6千円支給するとした子供手当についても「2011年からの実現は難しい」と野田財務副大臣が牽制する動きも出てきた。こうした動きに、「公約」とは一体何だったんだと多くの国民が憤りを覚えたとしても不思議ではない。

しかし、そもそも簡単に実現出来るものがマニフェストに掲げられることはほとんどない。そんなものは掲げたところで意味がないからだ。むしろ、実現が難しいことをあえてマニフェストに掲げていることもあるように見える。マニフェストに公約として掲げることで、「ステークホルダーである国民との約束」の形を作り、反対勢力を打ち破る起爆剤とするのだ。そうした観点で考えると、一見実現が難しそうに見えることが掲げられたものこそ「本当のマニフェスト」であると言える。

政党が選挙の時に掲げる公約は、国民との約束である。だから言うまでもなく、政権政党が公約を実現できるかどうかということは重要である。最初から実現する気のない政策を票集めのためだけに公約として掲げたのであれば、それは詐欺と言われても仕方がない。もしこのまま結果を出せなければ、民主党もそのような謗りは免れないだろう。しかし、難しい事柄を掲げる、という点では民主党のマニフェストは「本当のマニフェスト」の要件は満たしている。目指さない目標は達成されない。公約の実現は、公約を掲げることから始まる。

今日から2月。いよいよ中学、高校、そして大学入試が本格化する。簡単には合格できない学校を第一志望として「公約」を掲げた人ほど、本番が迫ってくるにつれ、言いようのない不安に押しつぶされそうになるかもしれない。実現が容易ではない「マニフェスト」を掲げてしまったことを後悔する時もあるかもしれない。しかし、普通にやっていれば合格するであろう大学をあえて第一志望に選ばなかったとき、君は「本当のマニフェスト」を掲げたのだ。負けないための形ばかりの公約ではなく「本当のマニフェスト」を掲げた誇りを胸に、淡々と前に進めばいい

幸運など祈らない。残された時間を自分の時間として使い切り、本番で自分の全てを出し切ることだけを祈っている。

頑張れ。


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人の成長を支援する「洋々」GM。経営コンサルティング会社A. T. Kearneyにて、Managerとして金融機関を中心に数多くのコンサルティングを手掛ける。また、採用担当者として多くの面接を行うと共に、コンサルタント向け研修プログラムの作成、実施にも深く関わる。金融専門誌への執筆多数。慶應義塾大学経済学部卒。ミシガン大学ビジネススクール・MBA Essential program修了。