エンターテイナー

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その光景は衝撃的であった。50を超えた大人たちが、肩を組み、所狭しと駆け回り、足をあげ、大声で歌い、踊る。しかも、その地方を代表し、全国的に見ても一流企業の一角を占める企業の経営陣達が、である。夜の宴席の場は数多くこなし、多少のサプライズは織り込み済であった私にとっても、初対面の人に対してここまで昼間の顔と違う姿を見せることが出来る人達と出会ったのは初めてであった。東京ではまず考えられない。つられるように私たちも、仕事の初期段階では決して見せることはない素顔を見せざるを得なくなった。そしてその後そのご縁もあってか、この方たちと仕事でご一緒することとなる。

「楽しませる」という意味の“Entertain”という単語は、古くは「受け入れる」という意味の言葉であったという。相手に受け入れられることは、人間にとって大きな喜びの一つであるが、昔の人は、相手を楽しませるには、まず自分が相手を受け入れなければならないことに気付いていた。

先の彼らも、昼間は非常に厳しかった。時にはこっぴどくお叱りを受けることもあり、決して楽な仕事ではなかった。しかし、常に高いモチベーションで頑張ることが出来たのは、どこかに受け入れてもらっている、そして自分も彼らを受け入れたいという気持ちがあったからだろう。ラグタイムの王様、スコット・ジョプリンの代表作にThe Entertainerという有名なピアノ曲があるが、その地に滞在している間、何故か私の頭の中ではいつもジョプリンが流れていた。

幸運にも私はこれまで多くの人に引き立てて貰い、様々な人から多くのことを学ばせてもらってきた。中でも、受け入れてもらうためにさらけ出し、出し切ってもらうために受け入れる、という彼らの教えは、私の仕事の原点の一つになっている。そう、西日本のある県で出会った彼らは皆、真の意味でエンターテイナーであった。

楽しんでもらえないことを嘆くのではなく、自分は相手を受け入れているのだろうか、を常に問いたい。目指すのはいつでも、エンターテイナーである。唇にはジョプリンのThe Entertainerを携えて。


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人の成長を支援する「洋々」GM。経営コンサルティング会社A. T. Kearneyにて、Managerとして金融機関を中心に数多くのコンサルティングを手掛ける。また、採用担当者として多くの面接を行うと共に、コンサルタント向け研修プログラムの作成、実施にも深く関わる。金融専門誌への執筆多数。慶應義塾大学経済学部卒。ミシガン大学ビジネススクール・MBA Essential program修了。