大学改革の視点
ある大学生がつぶやいた。「毎日頑張ってるつもり。だけど、今のままでいいのか分からない」。それでいいと思う。そうした自問自答の積み重ねこそ大学生の本分だと思う。
アジア諸国の若者のハングリーさはすごい。賛否はともかく、高得点を取る為にTOEICやTOEFLのWritingを、問題・解答をまるごと覚えて対策するその徹底ぶりは、目を見張るものがある。大学教育も例にもれない。中国では大学によっては補習も含めると1日10時間以上の時間割が組まれているところもあるらしい。欧米への留学を目指して猛烈に勉強している人も珍しくない。「勉強しない」と言われ続けている日本の大学のイメージとは随分違う。
ハイプレッシャーの中で、出来ることを極限までやることで得られるモノはきっとある。また大人になってから、必要となるスキルを効率よく習得するための基本動作を身に付けるという意味も大きいだろう。何より、日本以上に高い学歴や様々な資格を持っていることが、その後の社会的地位の前提となっている以上、彼らの行動は合理的だ。
しかし日本の大学が中国のようになればいいとは思わない。学生に猛烈に勉強させるのは簡単だ。大学がやるべきことをガチガチに決めて、単位認定の基準を厳しくすればいいだけだからだ。けれども、それだけでは「課題先進国」と言われる日本の未来は作れない。世界主要国に先駆けて、65歳以上の人口が21%を超えた超高齢社会となった日本のお手本はどこにもない。そもそも、我々が解くべき問すら明確ではない。
そんな今の日本において、求められているのは「自分で自分の時間割を作る力」だ。これを身に付ける上で、自由な日本の大学は格好の場とも言える。新しい社会を作る時には、一人一人が選択を積み重ね、試行錯誤しながら自分の価値観、すべきことを見極めていくことが欠かせない。もちろん、自由をもてあそんで漫然と日々を過ごすことのないような環境を大学が整える余地はあるかもしれないし、与えられた時間割をこなす方が成長できる人もいるかもしれない。けれども、大学生には他人に与えられた時間割をこなすだけではなく、自分で自分の時間割を作る練習を出来る限り積んでもらいたい。時間はかかるかもしれないが、それがきっとこれからの日本を作る原動力となる。
モラトリアムと揶揄され続け、日本の大学は改革の必要性が叫ばれている。が、単にカリキュラムの充実を図るだけではなく、日本の大学の「自由さ」を学生がどううまく使えるようにするかという点を見逃してはならない。
頑張れ、日本の大学生。誰も見たことない未来を作るために。
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人の成長を支援する「洋々」GM。経営コンサルティング会社A. T. Kearneyにて、Managerとして金融機関を中心に数多くのコンサルティングを手掛ける。また、採用担当者として多くの面接を行うと共に、コンサルタント向け研修プログラムの作成、実施にも深く関わる。金融専門誌への執筆多数。慶應義塾大学経済学部卒。ミシガン大学ビジネススクール・MBA Essential program修了。