第10回:自主トレinカナダ(その1)

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 合格通知を受け取り喜びに浸っていたのもつかの間、9月下旬には最終選考を兼ねた合宿が行われます。ここで日本代表青年たちは感動の初対面を果たし、1週間生活をともにしながら、ミーティングや勉強会を重ねて行くことになります。

 6月半ばに合格通知が届いたので、合宿まで約3ヶ月の時間がありました。この時間をいかに有効に使うか。全国各地から「凄い人たち」が集まるのだから、少なくともそれに食らいついていけるよう、自分をレベルアップさせておきたい。そんなことを考えていました。

 ということで、実はこの世界船事業がまだ選考過程にあるときから、仮に合格した場合の「夏休みの使い方」を見据えて、私は動き出していました。そう、「カナダへの短期留学」です。

 OBの先輩からも言われていたのですが、選考においてそれほど厳しい英語選考が行われない分、船の上ではやはり外国青年との「英語力の差」を痛感するというのです。そもそも日本人の英語は、リスニング・リーディングといった「インプット」は問題ないのだけど、スピーキングやライティングといった「アウトプット」が苦手である、と言われることが一般的です。あるいは、「読み書きはできるけど、喋れない」とも言われます。

 これは、船の上での日常生活、特にコース別のディスカッションやセミナーにおいては特に致命的であると感じました。私自身、一応英語は得意科目でしたが、それはあくまでも「受験科目」としての英語です。よりコミュニケーションに特化した英語力を磨くことが必要だと考えました。

 そのためには、「英語圏の国で生活し、とにかく英語を喋る」ということが一番の近道です。高校のときに姉妹都市派遣交換留学に選ばれ1ヶ月間だけカナダに行ったことがあったので、その時のホストファミリーに連絡を取ったところ、いつでも泊めてくれるということでした。さらに幸いにも、ちょうどその年は日本とカナダの修好80周年ということで、カナダ大使館が「留学奨励金プログラム」というのをやっていました。論文選考に通れば、なんと現地の語学学校に通う費用を負担してくれる、とのこと。これを逃す手はない!!死ぬ気で論文を書き、なんとか合格。立派な額縁に入った賞状と、副賞としてなぜかMonkey MajikのCDが贈られてきました。

 そんなわけでトントン拍子に話が進み、「自主トレinカナダ」の開催が決定。よくプロ野球選手がシーズン前の春季キャンプに備えて、ハワイやグアムで自主トレを行いますが、勝手にそんな気分になっていました。

慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅