第39回:キャビンチェンジ

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 船上での生活が半分ほど過ぎると、ある一大イベントが行われます。

 「キャビンチェンジ」

 そう、部屋替えです。より多くの青年と交流するため、キャビンメイトも全員入れ替えになります。

 その様子は、さながら「民族大移動」のよう。なにせ300人が一斉にすべての荷物をまとめ、一旦部屋の外に出して部屋を空っぽにし、次のキャビンへと荷物を入れていくのです。しかもそこは船の上。ただでさえスペースもエレベーターの数も限られているので、なかなか思うようにはいきません。

 キャビンを我が家のように使っていた人ほど、荷物をまとめるのは困難を極めます。床に落ちて散乱している着替えたちをとりあえずスーツケースに突っ込んで、「あーそういえば洗濯室に置きっぱなしの分もあった!」と気付いて慌てて取りに行き・・・まぁそれでも男子は楽な方ですよ。こういうとき、女子の方がよっぽど重労働。荷物の量からして違いますから。(これは湘南台で一人暮らしをしていても思うのですが、女子よりも男子の方が、意外と部屋が綺麗だったりします。)

 キャビンチェンジは丸一日かけて行われるのですが、荷物を搬出してから次のキャビンに搬入するまで、結構暇な時間がありました。皆パブリックスペースで昼寝したりお喋りしたりして時間を潰すのですが、キャビンメイトとの別れを惜しんで、悲しそうな表情を見せている人達も少なくありません。まだ事業は前半戦が終わったばかり。これが別れの瞬間というわけでは全くないですし、翌日以降も船内で普通に会うことができます。けれど、毎日キャビンで顔を合わせていた相手は、やはり特別なのです。

 キャビンメイトが、知らず知らずのうちに自分にとって「家族のような存在」になっていたということを、実感させられた一日でした。

慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅