第63回:足元を固める(その2)
現在、世界には数千の言語があると言われています。学者によって諸説ありますが、大体5000〜7000くらいという人が多いようです。
私自身も、これまでにいくつかの外国語を学んできました。もともと第二外国語には興味・憧れがあり、中学二年生の時にふと思い立って、NHKラジオで中国語を勉強していたこともありました。(当時は2ヶ月ほどで見事に挫折したのですが、大学の授業で再び勉強し直し、台湾の露店で値切れる程度の会話力を手に入れました。実際、「おばさ…いや、お姉さん!」「美人ですね!」なんて連発しているうちに、気がつくと値段が下がっているのです。)
他にも、スペイン語やギリシャ語を学んだりしました。大学入学時に「五カ国語習得」という途方もない野望(?)を掲げたのですが、最初の小さな一歩くらいは踏み出せたかなと思っています。
一方で、最近仕事でも英語を使うようになり、「なんだかんだ言っても最後は英語だ」と身を持って感じるようになりました。学問やビジネスの世界においても、海外と関わる人たちは国籍を問わずたいてい英語を不自由なく使いこなすことができます。たとえ中国語で日常会話をすることはあっても、商談や会議など深い話をする際には、先方も英語を使える人材を用意するはずですし、相手が大企業や海外展開に積極的な企業であれば、なおさらです。
そう考えると、興味本位で始めた第二外国語たちをビジネスレベルにまで引き上げることより、まだまだその場凌ぎでいい加減な英語をよりしっかりと固めておくことの方が、優先順位は高く、労力を考えても効率的なように思えてきました。
私の場合、油断すると次々に手を広げてしまい、全部中途半端になりかねないので、むしろ大胆に割り切ってみることに。すっかり埃をかぶっている、懐かしの「キクタン」や「リンガメタリカ」を引っ張り出すところから、まずは始めようと思います。
慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅