第8回:日本代表への道(その5)

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 そもそも、「一般教養」って何なのでしょうか。私の疑問は、ここから始まりました。

 送られてきた内閣府選考の要項にある、「教養試験」の文字。前の年に参加したOBの先輩からも、その存在については聞いていました。日本代表を選ぶ訳だから、もちろん日本についての教養は必要なのだろう。世界各国の代表青年とディスカッションしたり、寄港地ではオフィシャルなプログラムにも参加したりするのだから、世界事情という意味での教養も問われそうだ。そんな風に勝手に予想しては、どうやって対策を練ろうか悩んでいました。試験範囲なんて書かれていないので。それに、AO入試で大学に入った私は、センター試験などいわゆる「教養」が問われそうな試験は全く経験していません。これはやばい。

 考えた末に、SPIなど「就職活動対策」の参考書を一通り揃え、片っ端からやってみることにしました。やってみると、案外面白いものです。教養なんて全然知らないだろうと思っていたことが、意外と知っていたり、かと思えばやっぱり知らなかったり。「へぇ〜」と思いながら解いていくうちに、自然と覚えていきました。

 結局、この対策法が大当たり。しかも高校時代に培った「ヤマを張る」技術のおかげで、さらに大当たり。切り抜けるはずが、おそらくかなりの高得点だったと思います。覚えている限りで具体的な問題を挙げると、

・ アメリカ大統領選挙(何年に一度?候補者・副大統領候補は?
・ グラミン銀行の創設者は誰?
・ 「アファーマティブ・アクション」の日本語訳は?
・ 「スタグフレーション」とは?
・ ノーベル平和賞
・ 芥川賞
・ 憲法17条を出したのは?
・ パレスチナのガザ地区のイスラム原理主義は?
・ 小林一茶の俳句
・ 小野小町の百人一首
・ ミニマム・アクセスとは?
・ 新JICAの初代理事長は?
・ 伊能忠敬
・ ジェネリック医薬品
・ 北朝鮮の核施設がある場所

「やばい、全然わからない」という人でも、大丈夫。問題はすべて記号選択式です。それとさっきも言った通り、就職活動用の参考用を一冊やれば、大体解けるようになります。

 最後だけ、小論文でした。テーマは「“国際人”に対する考えを述べよ」。これは対策なんて何もしてなかったのですが、テーマが典型的なものだったので、詰まらずに書くことができました。強いて言うなら、日頃から定期的に文章を書いておく、ということが何よりの対策かもしれません。

慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅