第93回:必要なのはきっかけ(その1)

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第24回「世界青年の船」事業の出航前研修が、オリンピックセンターで始まっています。グループ別や委員会別など各種ミーティングもあるのですが、部屋の隅からその様子を見ていると、いろいろと気になることがあります。

外国人と日本人、人数比はだいたい同じくらいなのに、発言する割合は明らかに外国人のほうが多い。これは自分が参加青年だった2年前にも感じたのですが、英語力の差以上に、大きな差を感じました。外国人が遠慮せずにまくしたてるため、その場の空気につい飲み込まれてしまい、言いたいことはあるのに、言い出せないまま時間だけが過ぎていってしまう。「言いたい」という気持ちがあるからこそ、焦るし、悔しいし、凹む。自分もそうでした。

端から見ていると、その違いがさらによくわかります。基本的に、外国人は前の人が喋り終わる前に、自分が喋り出す。以前、テレビ朝日の「アメトーク」という番組で、”ひな壇芸人”が自分の発言を使ってもらうために「大御所の発言にかぶせる」というテクニックを紹介していました。外国の青年たちは、それを無意識のうちにやっているような気がします。そうした姿勢の違いが、結果的に場の空気を支配して、自分の土俵で話すことができるようになるのかな…とぼんやりながら思いました。

そんなエラそうなことを考えつつも、自分の2年前を思い返してみると、やっぱり最初は全く思い通りに喋れず、ひたすら悔しかったのを覚えています。一応、自分の中で英語は”得意科目”でしたし、高校時代に付き合っていた帰国子女の彼女のおかげで、発音だけはそれなりにできたのですが、いかんせんセンター試験を受けていないため、会話の中で使える語彙力や文法は中学生レベルがやっと…。発音のせいで周囲からは「英語できる」と思われていたのかもしれませんが、ノリでなんとかゴマかしていた、というのが正直な所です。結局、船に乗っている期間もたった一ヶ月半ですし、慣れることで次第に話しやすくはなるものの、「英語力」自体が急激に上達することは残念ながらありませんでした。

(つづく)

更新:2012-01-28
慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅