第40回:キャビンメイト(その5)

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 キャビンチェンジをして、新たなキャビンメイトと相部屋になりました。その一人が、オマーン人のAhmed(読み:アハメッド)。

 オマーンという国を、聞いた事がありますか。おそらくサッカー好きの人なら、日本代表の対戦相手国として何度か名前くらいは聞いたことがあるかと。アラビア半島の東南端に位置し、隣国はサウジアラビアやイエメン、アラブ首長国連邦になります。

 彼は日本で言う文科省で働いており、すでに結婚していて子供もいます。すごく「良いパパ」な人柄。でも年齢的には自分とも近いので、お互いに「brother」と呼び合い、よくキャビンで喋っていました。

 特に印象に残っているのが、オマーンでの「恋愛」について。ご存知の通り、オマーンはイスラム教の国なので、恋愛の価値観や方法が日本とはかなり違います。例えば、街や学校で、可愛い女の子を見かけたとしましょう。日本なら、直接声をかけご飯に誘ったり、連絡先を手に入れたりする事ができます。「ナンパ」なんて言葉もあるくらいですから。

 しかしオマーンでは、男性が女性に直接声をかけることがあまり良い事とされていません。では、どうするか。タイプの女の子を見つけたら、自分の姉や母親に頼むのだそうです。「ちょっと、あの子俺のタイプだから、食事に誘ってきてくれない?」という感じに。メールや電話などで異性とコミュニケーションを取ることもほとんどないらしく、すべては「女家族」を仲介させて行われます。もちろん、学校などで事務的な連絡をするときは口を聞いても良いらしいですが、それも必要最低限で済ませ、長時間お喋りすることはないそうです。

 同じように、日本のメールや電話を多用する恋愛について話したら、「その方が楽そうだよね~」と笑っていました。こういうのも、「異文化理解」。またひとつ、世界が広がりました。

慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅