第43回:変化(その1)

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 船での経験は、自分自身をかなり変えたと思います。事業が終わった直後はちょうど夢から醒めたような感覚でいたので、具体的に何が変わったかと聞かれてもイマイチ実感がなかったのですが、時間が経つにつれて客観的に見られるようになりました。

 最も大きく変わったのが、世界に対する関心です。もっと正確に言うならば、関心の「種類」が変わった気がします。もともと国際的なニュースにはそれなりの関心を持っており、テレビ等で取り上げられると「ふむふむ」と観ていました。ただそうは言っても、所詮は外国のニュース。日本国内で起きたものの方が身近ですし、当事者意識も強くなります。外国の場合はどうしても「外で起きた出来事だし…」という、部外者的な目線になっていました。

 ところがこの事業に参加して、世界中の国々に「家族」と呼べる仲間ができました。そうなると、この「当事者意識」というものが自然と芽生えるのです。たとえば、ある国で自然災害や内紛が起きたというニュースが入ると、「○○や△△(船のメンバーたち)は大丈夫かな…」という風に、その国にいる仲間の名前が出てきて、安否を心配するようになりました。逆に良い出来事を知ったときは、自分のことのように嬉しくなります。

 良いことも悪いことも、他人事では済ませられない、それくらい大事な仲間が世界中にいます。外への関心がより高まり、もっとよく見てみたい、触れてみたいと思うようになって…世界がかなり「近く」なった気がします。(帰国後に留学を決意したり、新たに語学を勉強し始めたりする人が多いのは、そういった理由からかもしれません。)

 「国」の名前を聞いて、「人」が思い浮かぶ。本当の意味でのグローバル化って、そういうことなんじゃないでしょうか。

慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅