第45回:スピード感とアンテナ(その1)

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 「メールの返信が遅い人」って結構いますよね。「遅い」の基準は人それぞれですが、たとえば急ぎの用事だったりすると、メールを送った側としては、やはりすぐに返信が欲しいものです。同様に、大学のグループワークなどで仕事を頼んでも、早い人と遅い人がいますし、友人と遊ぶときも、何をして遊ぶかすぐに決まる人とそうでない人がいます。

 世界船に参加していた各国のメンバーの中で、自分が「この人はすごいなぁ!」と思った人たちの共通点を改めて考えてみると、まさにこの「スピード感」に優れていたことでした。何か思いついたとき、次の瞬間には何らかの「アクション」を起こしている。自分の頭の中だけでなく、まわりの誰かにそれを話して意見をもらったり、企画書を書き始めていたり、試しにやってみたり。「うーん」と悩むくらいなら、悩んでいることそれ自体を、反応として表に出してみる。するとまた反応の早い人が、それに対して何らかのアクションを起こす。そんな良い連鎖が生まれるのです。結果的に、いくつもの自主的なイベントや活動が立ち上げられ、次々に実施されていました。

 ちなみに、自分がやっている空手の動きに例えると、超一流の選手と三流の選手では、突きのスピードが当然違ってきます。ではその違いがどこから生まれるのかというと、腕が伸びるときではなく、止まっていた所から一気に動き出す、「0から0.1」の部分で生まれるのです。つまり、「初速」の違いです。動きそのものよりも、動くまでの「反応」によるところが大きいかもしれません。

 ここでのスピードとは、「作業や動き自体のスピード」ではなく、「作業に取りかかるまでの動き出しのスピード」のことを指します。動き出しが早い人は、受験でも就活でも、おそらくビジネスにおいても、あらゆる物事において有利に働くのではないでしょうか。

 (続く)

慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅