第52回:人生を変えた出会い(その2)

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前回載せた日記(http://you2.jp/ao/fune_51.htm)を書いたのは、ちょうど大学三年生が始まる直前。あのときは半ば強引に、自分を追いつめるつもりで決断を下したのですが、内心は不安だらけでした。「無理してでも体育会は続けろ」という意見の方が多数派でしたし、海外でインターンシップをしたからと言って、何かが得られるという保証はどこにもありません。考える過程はいろいろあったにせよ、結果的には自分の核とも言える大きな部分を捨てて、知らない道へと足を踏み出しました。

大きな決断を下すとき、人はたいてい「あとで後悔したらどうしよう」と考えます。選んだ道よりも、選ばなかった道のことを考えてしまう。メンタルが相当強い人は別として、大多数の人にとってはそれが自然だと思うのです。自分の場合もそうで、「もし後悔したら…」とそれこそ毎晩のように考えていました。そんなとき、この言葉を知ったのです。

 “決断とは、捨てること。”

一瞬「ん?」と思いましたが、言われてみればその通り。決断というと「採用する方を決める」というイメージになりがちですが、実は「断つ方を決める」ということでもあります。最初から全部できるのであれば、そもそも決断なんて必要ないはず。決断が必要な時点で、犠牲や代償は必ず伴う。そう割り切って、いろいろなものを捨て、その代わりいろいろなものを得ることにしました。

あれから1年。いまなら、自信を持って言えます。
「あのときの決断は、間違っていなかった」と。

たぶん、決断を下す時点では「間違い」なんてありません。それが間違いかどうかを決めるのは、道を選ぶときの自分ではなく、選んだ道を実際に進む自分です。動きながら考えて、また決断して、進んでいく。明日の自分に後悔させないように、今日の自分が精一杯頑張る。…なんて、ちょっと真面目ぶって偉そうなことを書いてしまいました。ご容赦ください。

残り1年間の大学生活。1日たりとも無駄にしたくない、と頭では思っていても、ついダラダラしてしまう自分。そんな自分に向けて、最後にこの言葉を添えておきます。

 “君が無駄に過ごした今日は、昨日死んだ誰かが死ぬほど生きたかった明日なんだ。”

(続く)

慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅