第356回:こどもの日①

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今年の僕のゴールデンウィークは、いつもより少しゴールデンウィークっぽかった。と言うのも、今まで僕らにとってのGWは、だいたい毎年何かしらの合宿や練習で、休みという休みはなかった。それが今年は珍しく最後の3日間、5日~7日、3連休をもらえたのだ(もちろんそれ以外の日はもれなく練習である)。

すくなくともここ10年、2日以上の完全な連休など年に数回しかない。だから僕らは休暇というものに慣れていない。それに加えて僕らには計画性というものがない。いざ休みになってからその日何をするか悩み、結局は友達の下らない遊びに付き合ったりダラダラと呑み歩いたりしているうちに終わることがほとんどだ。

しかし今回の連休は、割と上手に充実した3日間にすることができた。旅行に行くとかメジャーなテーマパークに行くとか、SNSで大々的に自慢できるような大層なことはしていないけど、ノンビリしながらも日常なかなか出来ない小さな「やりたかったこと」を一つ一つ実現した休暇となった。それらを全部書いていると長くなるので、一番いろいろ詰め込んだ5月5日のことを書いておくことにする。

 

まずは、以前から高校柔道部の同級生から強く推されていた、茅ヶ崎にある「網元料理あさまる」という定食屋に行った。地元で獲れた新鮮な魚、特にシラスをたくさん使った豪華な定食が人気で、こんな休日の日には1時間の待ち行列ができるような有名な店である。この数週間前にも一度訪ねたが、その時はこの行列に心折れて、近くにあるテラスモールで適当なものを食べた。今回はその反省を活かし、最初から待ち時間覚悟で臨んだ2度目の挑戦であった。

結局は45分ほどで席に通され、思ったより早く御馳走にありつくことが出来た。さすが獲れたての魚たち、どれも新鮮で美味だ。値段もお手頃で、ご飯も定食一つに付き一回お代わりができる。かなり満足である。いったい一食で何匹のシラスを頂いたのだろう、あまりにも多くのシラスを次から次に口に放り込み、腹の中は水族館状態だったに違いない。今度来た時は生魚だけでなく、焼きや煮にも手を出してみようなどと考えながら、とりあえず御馳走様でした。

 

「あさまる」で腹を満たしてから、せっかくの“こどもの日”ということで近くにある里山公園に散歩に行った。たくさんの鯉のぼりが飾られている大きな公園である。小さな谷を挟んでロープが張られ、その間を大量の鯉が大きな口を開けながら空に向かって泳いでいる。聞くところによると、一般家庭でもう飾らなくなった鯉のぼりたちを引き取っているらしい。谷の底にはおそらく人工であろう小さな川が流れている。谷の上には大きなローラー滑り台やトランポリンが、その横には芝生の広場がある。川にも、いくつかの遊具にも、広場にも、子供たちがウジャウジャいて、ビショビショになったり、泥だらけになったりしてハシャいでいる。普段むさ苦しい戦いの世界にドップリと浸かっている僕にとって、どこか懐かしく非日常で、なかなかに平和でノンビリした景色であった。