第448回:ルーツ

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GW中、何回か地元の道場の練習に顔を出した。地元の道場とは、東京青梅の、僕が小学校1年から中学を卒業するまでお世話になった小さな町道場のこと。「今年、全中(全国中学生大会)を狙える(=東京都大会で優勝が狙える)生徒がいるのだが、その練習相手がいない」とのSOSを受けて、恩返しの気持ちと減量のための運動をしたい本音を抱え駆けつけた。

 

僕がお世話になっていた頃は、乱取り中心のガツガツした練習ばっかりだった記憶があるが、久しぶりに参加してみると、打ち込みや部分稽古といった形を整える系のメニューが増えていた。様々な試行錯誤を経て、周りの意見も受けて、少しずつ進化しているのだ。

僕も初心に帰って、可能な限り子供たちと同じメニューを最初から最後まで一緒にやった。練習前のトレーニングはもちろん、寝技の補強なんかも一緒に。

乱取りの多くはその全中を狙える子の相手をした。その子が軽量級なのもあるけれど、流石にまだ軽く相手ができる。これがあと十年もするとゼェゼェするようになるのだ。あとは衰えていくだけの自分が嫌だなぁと思った。

 

さて、この道場、僕が在籍した頃には数十名の生徒がいて、田舎にある無料の道場にしてはなかなかの賑わいだった。青梅市にはこういった、市が運営する無料の道場が7〜8か所あって、そいつらが一斉に集まって戦う青梅市民大会的なものは結構な規模であった。

それが現在では、残念ながら僕の出身道場の生徒は十名ちょい程度。他の道場も同じような状態らしく、市民大会の規模も昔の半分程度になったとのこと。

この原因はおそらく“少子化”とか、“子供の習い事の選択肢が増えた”とか、とても僕個人で太刀打ちできるようなものではないのだろうけど、自分のルーツ的なところに活気がなくなっていくのはやっぱり寂しい。今回のように、微力ながら、自分にできる恩返しをしていきたい。