第691回:プロ野球観戦②
試合開始1時間前というのに、ドームの周りは人でゴッタ返していた。グッズを売っているブースや屋台が立ち並び、それぞれに人の列ができていた。着ているものから察するに、大体80%くらいが巨人のファンで、15%くらいがよく分からなくて、5%くらいが中日の応援らしかった。なるほど、ある程度イメージしていたけれど、の人気というのは凄いんだ、と体感した。ちなみに僕個人としては、特にどこのファンでもない。けれどチケットを取ってくれた先輩が巨人ファンだから、当然ながら僕も俄か巨人ファンとして観戦することになる。入場前に巨人公式のアプリに会員登録して、そのオマケでもらえる巨人のオレンジ色のスポーツタオルを首に巻いて、入場した。
この日は幸い外の気温もさほど高くはなかったけれど、ドームの中は涼しくて実に快適だった。僕らの席は1塁側(基本的にはホームチーム側らしい)1階で、前から20列くらいのところ。選手の体格や顔も十分に認識できる、ボールの走る音やヒットの音もよく聞こえる。その分、ファールボールも十分に飛んでくるから油断はできないが、要は僕みたいな俄かファンには勿体無いくらい良い席だった。
これも事前になんとなく知っていたことだけど、飲み物を売り歩く女の子たちが、席の間を駆け回っていた。お気に入りの子から買うものらしい。ハイボールであれば味の違いなんて全く分からないから、角・デュワーズ・ブラックニッカの中で売り子さんが一番好みだったブラックニッカをその日は責めることにした。売り子さんたちはみんな、背中にお酒を、お腹に氷を担いで、基本階段しかない客席を3-4時間駆け回る。非常に分かりやすく肉体的な重労働だ。額に汗を滲ませて、オヤジ達にお酒を作り続ける彼女達を観るのは、なんだか色々な”搾取”のように思えてきて、個人的には若干居心地が悪かった。もちろん彼女たち自らで選んだ仕事だし、その分の報酬ももらっているはずだから、全く問題ないんだけども。担当する客席エリアを大体30-40分くらいで一周するらしく、必然的に僕らもそのペースで飲むことになった。