第693回:草野球
プロ野球を観たちょうど1週間後の月曜日は草野球に行ってみた。五反田で会社終わりにちょいちょいお邪魔しているバーのオーナー主催、いわゆる呑み友での草野球。「どこかのチームとの対抗戦ではなく、仲間内での練習会だから気楽に参加していい」とお誘いを受けてノコノコ参加させてもらった。大井埠頭にあるスポーツ公園の球場で17時からのナイター。なんだかんだ言って集まった人数は20人超。練習会とは言え、結局は紅白戦。自分で言うのもなんだけど、比較的運動神経がいいはずの僕としても、野球に触れるのは20数年ぶり、そこそこ経験者の集まりの中、なかなか厳しい戦いだった。
僕のグローブは小学校低学年くらいの時に買ってもらった年代物。この歳まで捨てずに持っていたのが奇跡に近い代物だ。いかにも小学生の持ち物らしく、母親の字で二箇所もマジックで「藤井 岳」と大きく書いてある。とは言え、その歳から見て今の僕は大いに成長している。思いっきり手を突っ込んでも、手のひらの3分の1ははみ出ていた。しかも、年代物のくせに対して使い込んでないのか、あるいは20年という歳月が劣化を招いたのか、非常に硬くて捕球しづらかった。こういう時も左利きは困る。誰かに借りることもできない。普段からトレーニングしているから普通の人よりも身体は動くしパワーもあるけれど、球を投げるというのはなかなか普段しない動作で肩やら肘やらが痛くなった。色々言い訳を重ねたものの、つまり守備はボロボロだった。
この20年バッティングセンターですら数えるほどしか行っていない僕としては、「あれバットの持ち方ってこれでいいんだっけ?立ち位置どこら辺がいいんだっけ?」のレベル。相手は大学とかまで部活で野球していて、大人になってからも草野球を現役でしている選手。普通に100km/hを超えるような球を投げる。無理だ。バッティングも手も足も出なかった。
チーム競技で、みんなの足を引っ張ると言うのはなかなかしんどいもの。ずっと個人競技で慣れていないだけかもしれないし、たかが草野球の、しかもただの仲間内の練習会だから誰も僕を責めるわけでもないけれど、なんか嫌だな、と思った。おそらく戦力外でもう呼ばれない可能性が高いものの、もし機会が来たならば、ちゃんと練習して活躍してやろうと心に決めた。