第733回:復帰戦もしくは引退試合⑦

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その後の試合展開としては、中堅が指導2で負け、副将が有効で勝ち、大将を残した4人終了時点で1-1の内容勝ちの状態になった。言い換えると「大将が引き分け以上で僕らのチームの勝ち」ということだ。しかしこちらの大将は引退してから一番時間が立っている最年長、僕の2歳年上。向こうはちゃんとポイントゲッター、さすがにちょっと苦しいか・・・思いながら試合を見守った。ウチの大将、引退して時間が経っているとはいえ、さすが昔強かったで、ちゃんと組み手を捌いて、小さい足技中心だけどちゃんと技も出ていて、「あーこれなら無難に引き分けられるかな」と思った。中盤、こちらは引き分けでいいから、特に攻めていない中、半分相手の自爆のような形有効まで取った。残り1分弱、チームのみんなが「あーもう大丈夫だな」と、次の対戦相手のことなんかを考え始めた矢先、ウチの大将がグニャと倒れ技有取られそのまま抑え込まれてしまった。特に相手の技でもない、組み手で捻られただけだったけど、もう彼の体力が限界だったらしい。足がもつれように倒れて、そのまま抵抗することもなく抑え込まれた。顔面はもう青白かった。

技有取られた瞬間、僕らベンチサイドはみんな一斉に「あちゃー」と頭を抱えて苦笑い。ギリギリまで勝てそうだっただけに悔やまれるけれど、そもそも格上の相手、仕方ないのだ。「むしろよく頑張ったよね」という清々しい気持ちで、みんなで礼をして畳を降りた。全員、二度目の引退。実に短い復帰だった。