第76回:やりたいことの見つけ方(4)~研究に関して2~

研究で必要なことの続きです。

2.具体的な研究テーマ 

問題意識や研究の意義は、自分の主観も入ったやや漠然としたもので良いのですが、具体的な研究テーマはかなり現実的なレベルで設定する必要があります。

例えば私の例で言えば、当初「教育にとって理想の大学入試とは何か?」というかなり大きなテーマで研究を行おうとしていたのですが、現実的に何かを明らかにしようとする時には「AO入試が個人、学校レベルでどういった教育的影響を及ぼしているのか?」という小さいテーマに落とし込みました。

実を言うとこれでもまだテーマとしては大きい方で、特に小さな期間で成果を出さなければいけない場合、「AO入試が個人、学校レベルでどういった教育的影響を及ぼしているのか?~県立鳥取西高校の事例から~」など、研究対象をかなり絞り込んだかたちのテーマになることがしばしばあります。

3.研究対象・手法 

2でも少し述べましたが、テーマを設定したあと、そのテーマを明らかにできるような研究対象と手法を決定する必要があります。さらに大学生という身分の限界と可能性を考慮した上で決定する必要があり、それを考えると、当初描いていた目標よりも、小さなことしか明らかにできないんだな…という現実が見えてきてしまいます。小熊教授はそれを「自分の理想と現実との調整」と表現していました。

手法の具体例としてはインタビュー、アンケート、実験、文献調査などがあります(哲学だとひたすら頭の中で考える、ということもあるのかもしれませんが)。何を明らかにしたいのかと照らし合わせ、決定していってください。

4.仮説 

仮説とは簡単に言えば、研究の結果どういったことが導き出せると思うか?ということ。仮説をあらかじめ立てることで、何を調べていけばいいのかという軸がしっかりしていきます。

ただ実際には、研究を進めていく中で、仮説は何度でも変更され、最終的に分かったことから、仮説を立て直し、あたかも初めからその仮説を思い描いていたかのように論文には掲載することがあります。

5.先行研究の調査 

初めに言っておく必要があったかもしれませんが、研究を進める上で、先行研究のリサーチ、すなわちこれまでどういった研究がされてきたかを調べる必要があります。研究というものは、これまで明らかにされていない新しいことを追求するものであり、誰かがやったことをもう一度やることは単なる練習でしかありません。具体的な研究テーマが決定したら、大きな図書館へ行き、研究テーマに関連しそうな本を片っ端からあたってみてください。図書館はなるべく多くの本がそろっている場所を選び、できれば、知り合いの大学生に大学の図書館へ連れていってもらってください。

慶應義塾大学なら、SFCには本があまりおいていないので、三田の図書館へ行く必要があります。また図書館にある本はインターネットで検索できるので、関係しそうなキーワードで検索をかけて見つけてみてください(AO入試ならば、「入試」「大学」「予備校」「高校」など)。 

本の読み方ですが、自分のやりたい研究がどれほどされているかが分かる程度読めれば大丈夫です。本によっては目次をなぞるだけかもしれませんし、第3章を読むだけかもしれません。研究を進める上で参考になりそうな本は借りてコピーするか、購入するかで手元におけるようにしておきましょう。

自分がやりたい研究がもしそのままされていたら残念なのですが、その研究の欠点や限界を発見し、研究を発展させることができる可能性もあります。                                               

次回へ続きます。


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