第110回:私が被災地で感じたこと

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 まるで、映画の中にはいってしまったよう—
これが、私が被災地に入って思った、率直な感想です。
あたり一面、がれきの山。
信じられない光景が目の前に広がっていました。
もしかしたら、テレビで見る風景を、「こんなことあるわけない」と思っていた自分がどこかにいたのかもしれません。
そんな思いは、一瞬で打ち砕かれました。

 そして、ここで、私は多くの方々と出会いました。
始めて被災された方とお会いするは、「どんなふうに接すればいいのだろう。」、「こんなよそ者が来て、被災された方々にとっては負担になってしまうのではないか。」と、様々な思いがありました。
ですが、実際に被災された方々にお会いしてみると、最初はやはり、あいさつをしても返ってこなかったりしましたが、何日もかけてお話をしていると、快く私を受け入れてくださいました。
そして日を重ねる毎に、本当に多くの話を、まるで友達や家族のようにしてくださいました。
一週間現地にいることができて、本当によかったと思います。

私は、一週間、避難所での配膳・物資整理をお手伝いさせていただきました。
基本的に、避難所では、被災された方々が配膳や物資整理を進んでやってらっしゃいます。
そのため、私は、そのお手伝いとして活動させていただきました。

ですが、この仕事は、思った以上に大変なものでした。
ただでさえ、あまり環境の良くない避難所にいる方々が、重い物資を運んだり、1000人分ほどの食事を作ったり、水仕事を長時間やっていらっしゃいました。
私は一日お手伝いさせていただいただけでも、ヘトヘトに疲れてしまったので、本当に大変な仕事だと思います。

でも、配膳や物資整理をされている皆さんは、「皆のために、私がやらなくては」という思いで、毎日毎日、仕事をこなしていました。

私は、このような現状を見て、自分にできることを考えました。
それは、「私がいる一週間だけでも、なるべく多くの人に休みをとってもらうため、一生懸命働こう。」というものです。
一週間、水仕事や物資整理など、大変そうなものをできるだけ引き受けました。

そして一週間経って帰る日、とてもうれしい言葉をいただきました。

「この一週間、あなたのおかげで、休むことができたメンバーもいたんだよ。ありがとう。」

というものでした。

私ができたのは、本当に少しのことかもしれません。
でも、このような言葉を頂くことができ、本当にうれしかったです。

私は、このような経験から、ボランティアを行う上で一番大切なことは、自分で被災された方々のニーズを汲み取り、そのためにできることをやる、ということなのではないか、と思いました。

もちろん、「自立支援」を行わなければならないため、すべてを私たちが行う、ということは間違っています。
被災された方々に寄り添い、お手伝いすることが、私たちにできることだと思います。

今回、現地に入って、皆さんに伝えたいことは、本当に多くあります。

でも、一番伝えたいことは、現地に行くことの大切さです。
私自身、現地に入ってみて始めて知ることがたくさんありました。
自分自身の中での考えも、大きく変わりました。

ぜひ、一度でもいいので、現地に足を運んでください。

そして、あなたにできることを見つけてみてください。

慶應義塾大学 総合政策学部 山本 峰華