第2回:あんた誰?

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近頃はインターネットの言論、というテーマがよく取りざたされる。匿名性の掲示板で、誹謗中傷をして、逮捕されたり、
実名制のSNSで、よからぬことを言ってしまったために、逮捕されたり・・・。いろんなことがありうる世の中になった。ソーシャルネットワークも、バーチャルな世界だけど、法律はリアルのものを使うんだから、裁かれるのはリアルの自分だ。

SFCは「ムラ社会」だとよく言われている。SFCにかぎらず、「大学」というものがある種、そうなのかもしれないが、SFCは特にその傾向が顕著。
具体的にどうなのかというと、
・キャンパスが狭い(というより、密度が高い!笑)
・駅からのアクセスが悪い(地下鉄の駅が出来る、という話もありますが・・・)
ことによって、どーしても学生はみんな大学ではち合わせることが多い。彼は知り合いの知り合い、彼女は友達の友達・・・。そうやってムラ社会が形成されていく、というのはよくある話。

でも、SFCが特殊なのは、そこに「ネット」の文化を加えたことにある。

SFCの人は、ほとんどが何かしらのSNS(Twitterや、Facebookなど)をやっているし、それでビジネスまでしている人もいる。だから、たいていの人は、名前を検索したら、情報が出てくる。
それも含めて、ネットで、リアルで、いろんな価値観が混ざり合った文化が形成されて、集団が作られていく。ネットでの知り合い、なんてのも、いくらでもいるし、珍しくもなんともない。

じゃあ、ネットをやっていない学生は?

卑近な作家で、伊坂幸太郎という人の小説で、
「ネットで名前を検索しても出てこない人は、この世界に居ないのと同じ」
と言うセリフがあった。これってとっても過激だけど、近未来(=SFC)においては、さもありなん、とすら思える。
ネットワークは現実とほぼ同じくらい拡大している。戸籍が無い人が、法律上居ないのと同じこと。ネットのルールで見つからない人は、居ない人なのだ。
でも、裁く法律はリアルのもので、ネットを使う自分も、裁かれる身体もそう。そこを、もっと考えないといけない。

更新:2012-07-13 慶應義塾大学 環境情報学部 中園 翔