第13回:カダイ
今回も自分の通う早稲田大学建築学科について書こうと思う。
ここ建築学科では多くの「カダイ」が出されるのは周知の事実で、100年以上続く歴史の中で現れた伝統とさえ呼べる慣わしとなっている。そんなカダイにもいくつかの種類があり、それぞれある性質をまとっていると気づき始めた入学一ヶ月である。
まずはカダイ1、「社会知」。
これは社会の中で上層を生きる人間として必要な知を身につけることを目標としている。専門性に平行してリベラルにグローバルに物事に触れることで、自らの専門領域と同様に深い根のある分野が多くあることを意識するようになる。更にはそれらに感化され自らの立ち位置を見直す機会も与えている。
カダイ2、「建築基礎」。
建築をやる上で最低限必要なことがある。スケッチやデッサンを重ねて、あらゆるものの構成原理の理解(理性)やそれ自体のもつ形態的美しさを把握する(身体感覚)。またはその絵の中でより雰囲気を出すための人や草木などの添景も欠かせない。そして設計する建築を図面に落とし込み、更にはそれを立体に起こしてリアリティと共に問題点や新たな発見を繰り返すプロセスは必ず行われる。それらの建築の基礎の基礎のノウハウを学ぶことをここでは目標としている。
カダイ3、「人間力」。
このカダイは必ずしも建築学科だけが焦点を当てているものではないだろう。どんな分野にいる人間も必要となる力を育成しようとするものだ。例えば問題の発見、解決法の提案と選択、そして発展。更にいえば、これらのプロセスをはじめからおわりまで全力でこなす根性・勇気・体力 etc…
補足だが、建築学科がしきりに生徒に言う「徹夜」というコトバの真意も、建築的な話よりもこちらに偏っているように感じる。
そして恐らくこれからまたいくつかカダイの種類が増える。その時、また改めて紹介したいと思う。
カダイは上手く付き合えば自らの進化に適切な触媒となるが、間違った付き合い方をした途端にマイナスな存在にもなるうるような扱いの難しい相手だ。そっぽを向かれないように上手く付き合っていこうと思う。
早稲田大学 創造理工学部建築学科 佐藤鴻