第35回:ベネチアビエンナーレ1

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一年生の課題が昨日をもって全て終了した。その最後に来たのが一年の集大成と言える課題で、年末年始を越えて出題された模型製作+コンセプト注入+プレゼンだ。対象は吉阪隆正のベネチアビエンナーレ日本館。この課題で僕を含めた3人のグループは学年60数グループの中から口頭ではあるが最優秀の称を頂戴した。ここに記念と記録と自戒の意味を込め、その課題に対して出したコンセプトを記しておきたいと思う。

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先輩の模型製作などを手伝いに行くと必ず大きなゴミ袋がある。それは作業を進めるごとに次々と切り屑や消耗されたもので一杯になっていく。人ごとだから放っておいたが、「建築模型を作ると必ず大量のゴミが発生する」というのは見過ごせない事だと感じている。僕はその点において逆の立場に立ち、普段ゴミとして扱われる「段ボール」を主材料に使用することでこの事について違った視点を持てるのではないかと考えた。

スーパーやコンビニの裏には必ずどっさりと積み上げられた段ボールを目にする。それは段ボールが商品のパッケージや郵送物の保護として使われ、そして用が済むとそれはリサイクルされるからだ。段ボールをよくよく見ていると流通の縮図を感じてくる。

流通とは『生産者から商品を消費者へ販売するための物・貨幣・情報の流れ』と定義されるが、一般的にこれは生産者→消費者のみの一方的な流れを指しているようだ。しかし私たちにはどうしても生物学的なサイクルがイメージされる。製品が大衆へ流れるのと同じ原理で、消費された物も同様に再び生産者へと流れるべきなのではないだろうか。

(つづく)

更新:2012-01-21
早稲田大学 創造理工学部建築学科 佐藤鴻