ひっぱりだこの人
会社であれ、学校であれ、いつでも輪の中心にいる人がいる。その道の専門家でないはずなのに、新しい会社で活躍する人がいる。どこに行っても、ひっぱりだこの人がいる。
理由は色々考えられるが、この人たちの共通点の一つは「チャレンジを楽しめること」、であろう。それは、結果がどうあれ、全ての勝負を自分にとっての勝ちに置き換えられること、とも言える。自らポジションをとって勝負に挑み、自分として「勝った」と言えることではじめて人は次のステージに進める。即ち、成長できる。
自らポジションをとることを勝負の要件だとするならば、周囲から可能性が低いと言われ続けた大学にチャレンジする、思い切って転職をする、親友だけれども、ずっと好きだった人に告白をする、といったいわば人生の一大事だけが勝負ではない。ギリギリ間に合いそうな地下鉄に乗ることを諦めてタクシーを拾う、一番早く順番が回ってくると思うレジに並ぶ、たまたま2件入ってしまった誘いのどちらかを選ぶ…。日常生活には思いのほか勝負が溢れている。
勝負に「負け」はつきものである。よく言われることだが、イチロー選手でも10回打席に立ち、ヒットを打てるのは4回もない。77年ぶりにGMから生産台数世界一の座を奪取したトヨタでさえ、先般のサブプライムローンショックで、他の自動車メーカー以上の大きな痛手を負った。社会構造の変化のスピードが速くなり、その振れ幅も大きくなった21世紀においては、どんなにリスクを減らしたと思っても、失敗をゼロにすることは出来ない。
勝負に「勝つ」とは、結果を出すことではない。もちろん結果は重要だし、勝てる可能性を出来るだけ高めるために努力を惜しまないことは不可欠なのは言うまでもない。けれども、百戦百勝を狙って勝てる勝負だけに挑むようになると、見た目の勝率は上がるが成長は鈍化する。イチロー選手が「打率ではなく安打数にこだわるのは打席に立ちたくない、という気持ちを断ち切るため」と語っているように、勝負の場に立つことを拒んだ瞬間に次のステージに進むチャンスは失われる。結果以上に大切なのは、自分なりの勝負をし、そこから学び、また次の勝負に挑み続けるという姿勢である。
勝負の場を次のステージに行く為のチャンスととらえると、仮に「大勝ち」をしたとしても、それ自体にはほとんど意味がない。むしろ人が見たときの勝敗ではなく、自分で勝負をどのように定義するかが重要だ。そして、「勝ち」を増やすためには勝負の場に立ち続けなければならない。
他人が見たら、負けの連続にしか見えない体験を、自分の勝ちに出来る人。こんな人が今、そしてこれからも、「ひっぱりだこ」になるだろう。
勝負を降りてはいけない。まず、打席に立とう。
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人の成長を支援する「洋々」GM。経営コンサルティング会社A. T. Kearneyにて、Managerとして金融機関を中心に数多くのコンサルティングを手掛ける。また、採用担当者として多くの面接を行うと共に、コンサルタント向け研修プログラムの作成、実施にも深く関わる。金融専門誌への執筆多数。慶應義塾大学経済学部卒。ミシガン大学ビジネススクール・MBA Essential program修了。