カンニング受験生が投げかけたもの
大学入試で不正を働いたという予備校生が逮捕された。ガチンコ勝負をして、合格の喜びも不合格の悔しさも自分で消化している受験生の気持ちになるととても許せる行為ではない。制限時間内に独力で解答を作る、という入試のルールに完全に違反しているからだ。
一方で、カンニング自体は許せないものとしながらも、この学生の行為を、社会の変化を最大限に取り入れた行為として評価する人もいる。また、答えがすぐに見つかるような試験制度自体が、社会に出てから求められているものとの乖離しているとして、大学の入試制度のあり方に疑問を投げかける声もある。社会では結果が最重要である。そこでは、自分だけで結果出すことが求められるのではなく、自分の使える手段を全て駆使した上で出しうる最大限の成果を上げられるかどうかが問われる。何が綺麗で何が汚いかは局面によって違う。そうした見方をすれば、今回の問題となった予備校生だって今後社会で活躍出来る素地は十分にあるのであろう。
人生はゲームだ。サッカーは、11人がうまく連携し、手を使わずに指定されたボールを「ゴール」と呼ばれる決められた枠の中に、90分の中で相手よりも1回以上多く入れることを競うゲームだ。相撲は、まわしだけを身につけ、決められた大きさの土俵の外に出すか、足の裏以外の体の一部を地面につけることを競うゲームだ。このようにあらゆる「ゲーム」と呼ばれるものの中では、制約条件の中で最も大きな成果を挙げるように考え、行動することが求められる。この意味で、家電量販店での値引き交渉、仕事での部門間の調整、恋人や家族、友人との付き合いに至るまで、生きる営みは全てがゲームと言える。
人は生きて行く中で、異なるルールを持つ様々なゲームに参加することになる。サッカーでは手を使ってはいけないように、野球では殴ってはいけないように、ゲームごとにルールは異なる。だからこそ、今参加しているゲームのルールがどのようなものかをいつも問い続けなければならない。ルールを守れなければそのゲームに参加する資格はないが、そのルールは唯一絶対のものではない。知らず知らずのうちに、そのゲームの中で「自分だけのルール」を設定していないかを見直さなければならない。
そしてより大切なのは、どのゲームに参加するか、そしてそのゲームに参加することで磨かれる自分の力が何かを常に意識することだ。それを決めるのは自分である。
ズルをしてはいけない。けれども、何がズルくて何がズルくないか、をいつも自分のモノサシで判断出来るようになろう。
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人の成長を支援する「洋々」GM。経営コンサルティング会社A. T. Kearneyにて、Managerとして金融機関を中心に数多くのコンサルティングを手掛ける。また、採用担当者として多くの面接を行うと共に、コンサルタント向け研修プログラムの作成、実施にも深く関わる。金融専門誌への執筆多数。慶應義塾大学経済学部卒。ミシガン大学ビジネススクール・MBA Essential program修了。