俺たちはどう生きるか

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未曾有の震災発生から2週間余りがたった。被災の中心にいる人やそれを直接支援している人たちはまだ毎日を生きることに必死であることと察するし、首都圏でもあまり計画的とは思えない計画停電に生活をかき乱されている地域もあるが、それでも首都圏は少しずつ落ち着きを取り戻しつつあるように見える。

震災によって日本人は、文字通り物心ともに深く傷ついた。しかしそれと同時に、震災は私たちに重要な気付きを与えた。決まった時間に電車が来て、スイッチを押せば電気がつき、お腹がすいたらご飯を食べられ、喉が乾けば水が飲め、寒くなったらいつでも暖房を入れられ、コンビニやスーパーに行けば必要なものが手に入る。今や「当たり前」となっていたこうした便利さが、当たり前ではないことを震災は改めて気付かせてくれた。

10階前後を階段で上り下りする、間引き運転で大混雑の電車に乗る、節電の一環で空調を全部切る、コンビニにモノがほとんどない…。普段であればすぐに不平の声を上げたであろうことも「被災の中心にいる人たちを思えば」となんの苦も無く我慢が出来た。自分も多少の不便はあったとしても、子供やお年寄り、病気の人を優先してあげたいと自然と思えた。自分よりも他の人を、という人として大切にしたい感情が心の底から湧きあがったのは皮肉にもこの震災のお陰だった。

便利さが当たり前になっていたからこそ、「次の課題」に私たちは時間を割くことが出来た。大相撲の八百長問題も、小沢一郎代議士の献金問題も、カンニング予備校生の事件も、秋葉原の無差別殺傷事件も、どれも21世紀を生きる私たちが向き合わなければならない問題である。けれどもこうした「次の課題」に目を奪われた余りに、私たちは「現状に感謝する」ということをいつの間にか忘れていたのかもしれない。

「人間分子の関係 網目の法則~自分に見えているものの裏側には無数の人が関わっている~」。昭和初期の哲人・吉野源三郎はその著書で、複雑化した社会では忘れられがちな「自分の基盤」に意識を向けることの大切さを説いた。その上で物語の最後に、その本のタイトルにもなっている言葉を読者に投げかける。

「君たちはどう生きるか」と。

本当に大切なことは何かを見極めて優先順位をつけ、一日一日を丁寧に、全力で生きる。自分に出来ることを出来る限り頑張る。これが復興を早めると固く信じる気持ちは変わらない。けれど、震災が直撃しなかった私たちだからこそ出来ることがもう一つある。

今改めて自分自身に問いたい。

「俺たちはどう生きるか」

そして天災を天災で終わらせることなく、残された俺たちが「これからの社会」のあり方をしっかり模索し、本気で創っていくのだ。天災で失われた多くの命に報いるためにも。


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人の成長を支援する「洋々」GM。経営コンサルティング会社A. T. Kearneyにて、Managerとして金融機関を中心に数多くのコンサルティングを手掛ける。また、採用担当者として多くの面接を行うと共に、コンサルタント向け研修プログラムの作成、実施にも深く関わる。金融専門誌への執筆多数。慶應義塾大学経済学部卒。ミシガン大学ビジネススクール・MBA Essential program修了。