職人気質
日本タングステンという会社の就職希望者が大幅に増えたという。人材の採用に苦労することの多い中小企業にして、5名の枠に130人以上の学生が集まり、倍率は30倍近くまで達した。どんな金属でも穴をあける模様がテレビ番組で紹介されたことで、金属にこだわる「職人気質」を意気に感じて興味を持つ学生が増えたとのことである。
職人気質(ショクニンカタギ)―自分の技能を信じて誇りとし、納得できるまで念入りに仕事をする実直な性質(大辞泉)。
マーケティング全盛の今、人の目を引くようなキャッチコピーが以前にも増して重視されるようになった。そして多くの企業が、従来の広告媒体はもとよりFacebookやtwitterなどのSNSを駆使していかに多くの場所でそのコピーを人の目に触れさせるかに心を砕いている。世の中には分かりやすさが溢れている。
同時に、期待外れも増えた。タイトル買いした本の内容が薄いこと、首を長くして待ってやっと手に入れたけどいつまでたっても未来に行けないスマホ、「このサイトで一番売れてます!」との言葉と活きの良さそうな写真を信じ思わずクリックして届いたショボイ蟹。伝わらない良さを伝えることがマーケティングだったはずなのに、サービスや商品の質を高めること以上に買わせることが優先されていると感じることも多い。そこには「職人気質」の気配が感じられない。
「じっくりと100%を目指すのではなく、7~8割でいいからスピードを優先しろ」。私がコンサルタント時代、良く聞いた言葉だ。最近ではFacebookでもこの「7割主義」が会社の行動規範の一つとなっているとも聞く。けれどもこの「7割主義」は「効率」や「スピード」を声高に叫ばなければならないほどの職人気質に裏打ちされてはじめて意味がある。100%の水準を他人の期待値よりもはるかに高いレベルにおける人達だからこそ、意識の外に置かれがちなものへの注意喚起が必要となる。そもそも仕事の質が低い人が効率やスピードだけを追求したところで、そこからは何も生まれない。「7割主義」は誰にでも当てはまる金科玉条ではない。
誰かの作った基準ではなく、自分で決めた目標をモノサシとする。人には満点だよと言われようとも、自分の目指すところに届いてなければとことん自分の100%を追求する。こうした姿勢こそが、世の中に変革をもたらすものと信じている。
洋々も、「俺達の基準」で他の誰にも提供できないサービスを追求し続けたい。時には効率悪く見えることもあるかもしれない。けど期待外れなんて言わせやしない。「今この瞬間は世界で一番受講生のことを考えている」という誇りを胸に。
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人の成長を支援する「洋々」GM。経営コンサルティング会社A. T. Kearneyにて、Managerとして金融機関を中心に数多くのコンサルティングを手掛ける。また、採用担当者として多くの面接を行うと共に、コンサルタント向け研修プログラムの作成、実施にも深く関わる。金融専門誌への執筆多数。慶應義塾大学経済学部卒。ミシガン大学ビジネススクール・MBA Essential program修了。