路上の異文化コミュニケーション
ようやく日射しが暖かくなってきたこともあり、雨さえ降っていなければ最近「風」を感じながら通勤している。
道路には色んな人がいて面白い。道をふさぐほどのトレーラーやトラック、バスやタクシー、自家用車、スーパースポーツバイク、ビクスク、原チャリ、電動自転車、チャリ、片側3車線の国道を横断する人。また運転する人も様々。いつも信号待ちの最前列で「シグナルダッシュ」に命をかける人から、よろめきながらスクーターを操るお年寄り。自転車だって、バッキバキにキメたスタイルでストリートサイクルに乗っている人もいれば、前後に子供を載せて必死で電動自転車を漕ぐお母さんもいる。そんな人達が同じ道路を使っている。
道路は色んな事情と色んな価値観を持った人同士の無言の対話の場だ。異なる背景を持った人同士が、クラクションやウィンカーは勿論、アイコンタクトや初期動作などあらゆる手段を駆使して、言葉を発することなく自分の意図を全体の中になじませる。この感覚は言葉もままならぬままに海外に飛び出て行った時に似ている。
自分をいつもとは違う立場に置いてみたり、自分とは違う考えや価値観を持った人と触れあうと、いかに自分が独りよがりな前提を置いて日々生きているか分かる。私自身、移動はほとんどタクシーのような生活をしていた頃は全く意識したことなかったが、客を拾うタクシーの急な車線変更には何度もひやりとさせられたし、信号待ちの時に路肩を少し開けて止めることが、バイクや自転車の流れにとってはいかにありがたいかということにも気付く。
最近、若者たちの車離れが取り上げられ、免許すら持っていない人も増えたという。確かに都心の移動が中心の生活だと公共交通機関だけで暮らす方が便利な上に経済的だし、環境への配慮からそうしている人もいるだろう。だが、たまには立場と視点を変えてみると違った気付きがある。
仕事でもきっとそうだ。自分の流儀を持つことは何よりも大切だが、それに縛られ過ぎると時に前に進めなくなる。ロジックだけでも、官能だけでも、最短の道だけでも、回り道だけでも、モーレツだけでも、ゆとりだけでも生産性は上がらない。時には意識して違うリズムを持つ人と仕事をしないと、限界生産性は確かに逓減する。
「自分の流儀を色んな「筋肉」を使って多様性の中で試し、また自分の流儀を固めていく、こんなプロセスが大切」―この考えのもとに、異文化に触れさせようと子供を若いうちから留学をさせる親も増えてきたと聞く。でも実は、なんてことはない道路の上だって格好の異文化コミュニケーションの場だったりする。
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人の成長を支援する「洋々」GM。経営コンサルティング会社A. T. Kearneyにて、Managerとして金融機関を中心に数多くのコンサルティングを手掛ける。また、採用担当者として多くの面接を行うと共に、コンサルタント向け研修プログラムの作成、実施にも深く関わる。金融専門誌への執筆多数。慶應義塾大学経済学部卒。ミシガン大学ビジネススクール・MBA Essential program修了。