第97回:スリランカ滞在記(その3)
2月18日。この日も寄港地プログラムに便乗して、「象の孤児院」へ。日本で象と言えば動物園のアイドル的存在ですが、22歳にもなればそう頻繁には動物園に行かないので生で観たのはかなり久しぶりで、ちょっと新鮮でした。川で水浴びしている像をのんびり眺めながら、スリランカ人の友人たちとお喋り。大学教育や就職活動など、同年代ならではの話をたくさんすることができ、気づきの多い楽しいひとときでした。
象もよかったのですが、それよりも面白かったのはその道中。なんと、警察による先導つき。白バイ&パトカーがバスの前を走り、車をかき分けて僕たちが通るための道を空けていきます(むこうの白バイはなぜか皆二人乗りで、後ろに乗っている警官が手を大きく振って車を止めたりどかしたりしていました)。大きな交差点にはあらかじめ警官が配備されていて、僕らのバスが通るときは完全封鎖。もちろん、信号は完全無視(サイレンをがんがん鳴らして走っているので、救急車と同じ)。挙げ句のはてには、対向車線におもいっきり入って走っており、さすがにここまで来るとやりすぎ感が否めず、バスに乗っている各国青年たちも苦笑い。沿道では、現地の人々がポカンとしながらバスを見ていました。警察車両に囲まれた、バス数台の大名行列。それはもう、異様な光景だったと思います。(小心者の自分は、「お騒がせしてすみません…」と心の中で何度もつぶやきました)。
結局この先導のおかげで、行き帰りそれぞれ一時間半、バスは一度も停まることなく、予定されていたスケジュール通りに到着。信号も渋滞もないのだから、そりゃそうだ。「国賓級の扱い」を受けるのは、自分の人生においてこれが最初で最後になるはず。そう思って、車内から映像をたくさん撮っておきました。いつか、孫に自慢しよう。
慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅