第83回:「東ア船」と「世界船」の違い(その2)
前回のつづきです。
慣れ親しんだ「世界船」チームから、「東ア船」チームへ。突然の移籍発表。サッカーに例えるなら、期間限定のレンタル移籍ではあるものの、ACミランからインテルへ移るような、電撃移籍。
特にお互いライバル意識を持っているわけではないのですが、世界船チームのメンバーからは冗談混じりに「裏切り者!」と言われたりしました。別に自分から希望して裏切ったわけじゃないのに…。(それに実際は、移籍というより「掛け持ち」状態でした。僕だけでなく、職員は皆いくつかの事業を掛け持ちしながら仕事をこなしています。)
今回僕が担当したのは、「Japan-ASEAN Youth Leaders Summit」というプログラム。これは、前述した「東南アジア青年の船」事業の直前合宿の一環として位置づけられていて、船に乗る各国の代表青年たちと、このサミットのためだけに別枠で選ばれた日本人青年(ローカルユース)たちが、3泊4日で議論や交流を行います。
(実は僕自身、このサミットにもローカルユースの一人として大学2年生のときに参加していました。その経験も買われて…なのかはわかりませんが、晴れて運営スタッフの一員になったのです。)
人数だけでも600人規模。そのうえASEAN10カ国(日本を入れて11カ国)という多国籍状態。こんな「カオス」の状態で、ハプニングが起こらないわけがありません。ひとつひとつ、その場で対応していきます。ここまでは、世界船でもよくあること。
世界船にはあまり見られない「東南アジアらしさ」を感じたのは、青年たちのリアクションを見たときでした。たとえば、彼ら参加青年の方から僕たちスタッフに何か頼み事をしてきて、「申し訳ないけどそれは応じられない」と断ったとき、彼らは「そうだよね…ごめん、ありがとう」という風に一発で納得してくれるのです。こちらが「Sorry」と言ったのに、向こうも「No, I’m sorry」と返してくれることもありました。これには、正直驚きました。穏やかで、平和主義。
「もし世界船だったら、どう考えてもすぐには引き下がらずに、”WHY!?”とか言って食ってかかってくるんだろうなぁ…。」
他の職員と、苦笑いしながら話していました。まぁ、その勢いや強引さも、世界船の魅力と言えば魅力なんですけどね。
運営・管理する側としては、適度な頃合いを見計らって引き下がってくれるよう、ぜひともお願いしたいところです。
慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅