第61回:足元を固める(その1)

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ここ最近、「自分自身の足元をもう一度しっかり固める必要がある」と、個人的にかなり強く感じています。

海外の人たちと頻繁に関わるようになり、海外のことを知る機会が増えた一方で、自分は日本のことをあまりよく知らないということに気付かされました。学校の授業で習った日本の歴史・文化・政治制度も、いざ面と向かって聞かれると、すぐには答えられなかったりします(もちろん英語力の問題もあるのですが)。外にばかり目が向き、内のことがおろそかになってしまっているのです。

『美味しんぼ』という食をテーマにした有名な漫画の中で、〈世界味巡り〉という企画がありました。究極の食材や料理を探し求めて世界各国を訪れるというものですが、いくつかの国を訪れた後、〈日本全県味巡り〉という、47都道府県をひとつひとつ巡っていく企画へと移り変わります。「日本の本当の国際化のためには、まず日本を知らなければならない」というのが、その理由。当時はまだ海外なんてほとんど行ったこともなかった私にも、主人公のこのセリフはなぜかしっくりきました。

外国人と日本の話をすると、東京や大阪、奈良や京都が多く話題にのぼりますし、日本のイメージの大部分を占めているようにも感じます。しかし、そうした名の知れたまちに限らず、地方の小さなまちにも、日本の魅力はたくさんあると思うのです。それは郷土料理であったり、自然や建造物、そこに暮らす人たちの温かさだったり。自分が日本人として海外の人に日本の良さを伝える際には、そんな深くて見えづらいところまで含めて、伝えられたらいいなと思います。

本当の国際化のためには、まず日本を知ること。いつか世界一周するときのために、まずやるべきは日本一周なのかもしれません。

更新:2011/06/04
慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅