第60回:兄弟

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私には2歳年下の弟がいます。高校を卒業してから一年間の浪人生活を終え、この度アメリカの大学に進学することが決まりました。「留学」ではなく「進学」、つまり4年間ずっと向こうの大学に通うということ。ちなみに、弟は帰国子女でも何でもない、生粋の日本人(白いご飯が大好物)。私の場合は中学校の語学研修で2週間ニュージーランドに行ったり、高校でカナダに行ったり、海外と接する機会もそれなりにあったのですが、弟の場合はそういった経験もまったく無く、唯一行ったことのある外国が、家族旅行で行ったサイパンでした。(リゾートなので、英語を喋るもほとんど必要なし…。)

そんな弟がアメリカの大学に行きたいと言い出したこと自体、家族全員がビックリでした。両親も「海外大学に行きたいと言い出すとしたら、晃毅の方だろう」と思っていたようです。(実際、高校二年生のときに海外大学への進学を考えていた時期もありました。)しかしその予想に反し、自分は日本にある海外的な大学、いわゆるSFCへ。そしてまさかの弟が、渡米を志したのです。

「まぁやるだけやってみれば…」家族全員がそんな冷めた(?)態度でいたのですが、弟自身の本気度は凄まじいものでした。浪人している一年間、来る日も来る日も、ずっと英語の勉強。本当に、病気じゃないかと思うくらい。たまに私が実家に帰ってくると、山のような単語カードが置いてありました。ためしにチラッと見てみたら、全然意味がわからず。「いやー、まさかそんなことはない。俺、一応英語は得意だし!」そう気合を入れなおし次の一枚をめくってみても、やっぱりわからない。それもそのはず、専門的な学術用語ばかりで、日本の大学受験レベルの語彙力では、到底太刀打ちできなかったのです。また、弟の部屋に「デスノート」「ナルト」といった漫画がずらりと並んでおり、「浪人生なんだから勉強しろよ!」と思いつつ開けてみると、セリフが全部英語だった(要するに英語版だった)ということもありました。ここまでくると、感心を通り越して呆れてしまいます。

好き嫌いが激しく、いい加減。そのかわり、自分が好きでやると決めたことは、のめりこむほど徹底的にやる。同じ兄弟でも、私とは違い「感覚で生きているタイプ」の弟なので、これから入学・渡米の準備を進めるにあたっても、まだまだ波乱がありそうです。とりあえず無事に渡米し、向こうに「家」ができたら、白米&納豆を手土産に遊びに行ってやろうと思います。

更新:2011/05/31
慶應義塾大学 環境情報学部 水谷晃毅