第590回:半世紀へのエントランス③

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僕らが手に入れたチケットはアリーナ席で、ステージからは少々遠いものの、ちょうど正面から見える位置だった。球場のセンターの位置に設置されたステージに対して、キャッチャー真後ろのアリーナ中腹といったところだ。ステージ上の人は、だいたい七味唐辛子の小瓶くらいのサイズに見える距離感。身振り手振りはちゃんと見えるけど、表情はちょっと見えないかな、という感じ。よく考えると、僕が今まで観ることの出来たライブは二回とも日産スタジアムで、ドームでの観賞は今回が初めてだった。スタジアムでアリーナの真正面席だと、ステージ上の人は納豆の粒くらいだ。そう考えるとドームは小さくて助かった。しかもこの日は雨、屋根のあるドームで良かった。しかも運が良いことに通路に面した(席のブロックの端っこ)席だった。通常よりも広い肩幅を持つ僕は、こういうビッシリ並べられた席で両隣に誰かが来ると、言葉の通り肩身の狭い思いをする。だから通路にはみ出しながら座れるこの席は非常にありがたかった。ドームの中は開演前から薄らとモヤが掛かっていた。おそらくステージライトなんかを綺麗に見せるための演出なのだろうが、このご時世「一回換気しない?」と言いたくなった。

ライブは17時を10分くらい過ぎたところで始まった。会場全体が暗くなり、一曲目の歌が始まって一気にライトが付くという演出だった。相方に「なんで10分遅刻したの?」聞かれて、確かになと思った。思い返せば、今まで行った二度のライブも時間より少し遅れてスタートした気がする。Mr.Childrenのライブしか行ったことのない僕からすると、”ライブとはそういうもの”と認識していたのだが、言われてみればその通り、遅刻である。相方は今まで、一度だけEXILEのライブに行ったことがあるらしいが、彼らはちゃんと時間通りに開演したらしい。”ライブとは時間通りに始まらないもの”ではなく、どうやらMr.Childrenに遅刻クセがあるだけのようだ。