第310回:休む勇気

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この前ちょっとした怪我をした。僕が技をかけて、それを相手に潰された時、とっさに手を付き、その上に相手が乗ってきた。その瞬間、僕の手首は、正直曲がって欲しくない方向に曲がった。まぁ柔道ではよくあること。いわゆる捻挫ってやつだ。

怪我をした日の夜は、寝返りを打つ時に少し手を使うだけで痛くて目が覚めるほどだったから、決して軽い怪我とは言えない。しかしテーピング等を使って少し無理をすれば練習が出来てしまう程度である。こんな時、我々アスリートは厄介な選択を強いられる。しばらく練習を休んで回復に努めるか、競技の感覚を忘れないために無理して練習に参加するか。

これまでの僕だったら間違いなく後者を選択した。いつかの記事で書いたような気もするが、練習を休むのにも色々な勇気がいるのだ。僕は基本的にその勇気がない人種だ。でも今回はふと休んでみようかな、と思った。理由はおそらく、練習のやり過ぎで少し頭が混乱していた故「ちょっと柔道は眠らせて、トレーニングをキッチリやるのも良いな」と自然に思えたからだ。

いざ休んでみるとどうだろう。3~4日でほぼ全回復し、何事もなかったかのように競技に復帰することが出来た。これまでの怪我の経験から、仮に今回も普段通り我慢して練習を続けていたら、3週間くらいは痛みと付き合うことになっていたように思う。

この歳になって「そりゃそうだろうよ!」とツッコまれそうなことを、大袈裟に書くのも気が引けるが、やっぱり安静や休養はとても重要である。練習を続けながらの治療はとても時間がかかる。とは言え、あまりにも小さな怪我でいちいち休んでいたら柔道なんてやっていられない。故障の程度を見極めて、試合の時期や自分のコンディションとよく相談することが大事なんだな。

また一つ自分の頭の固さを乗り越えて、少しだけ賢くなった出来事であった。