第373回:沖縄旅行②

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8月30日、到着日には本島北の古宇利島の方まで行った。本島からその島に伸びる長い橋はとても開放的で、360度“沖縄チック”な風景を見渡せる。ただ、世間様もまだ夏休みのこの日は、ある程度有名なビーチはどこもなかなか混雑していた。我々がとりあえず目的地に設定していた古宇利ビーチもそんなビーチの一つで、駐車場もほぼいっぱいの勢い。そんな人ゴミの海で泳いでいても、なんだか沖縄感に欠けると考えた我々は、地元民が行くような、海の家やネットのない自然そのままのビーチを探すことにした。あてもなく海岸沿いを走り、海に降りていけそうな道を見つけてはアタックしているうちに、いい感じのところを見つけた。名前は忘れたけれど、大きなスポーツ施設の裏で、いかにも地元民が行きそうな雰囲気。海沿いに駐車場もあった。なにより僕ら以外誰もいないのが良い。「いいところを見つけたな」と相方と二人、ウキウキしながら服を脱ぎ捨て海に飛び込んだ。ところが、入って3分もしないうちに脛の横辺りに刺すような痛みを感じた。ちょうど同じタイミングで相方も痛みに飛び上がっていた。ゴムの縄跳びにバシッと反撃されたような痛み。しかもそのバシッの痛みが引いていかない不思議な感覚。慌てて岸に上がると、細い糸こんにゃくのようなものがベットリ脛に張り付いていた。クラゲだ。

急いで近くの水道で触手を洗い落したが、それがくっ付いていたところがキレイにミミズバレになっていた。僕は脛の横辺り。相方は足の甲からアキレス腱のあたり。

 

だから誰もいなかったんだ。やられた。引き揚げ際によく見ると、海へ下る道の入口に「ハブクラゲ異常発生。泳ぐ際は自己責任で」的なことが書いてある張り紙があった。ネットで調べるとハブクラゲって結構危ない奴らしい。もう笑うしかなかった。

 

このミミズバレ、僕の方は30分もしないうちにキレイサッパリ消えた。痛みも痒みもなくなって、どこを刺されたのかさえ分からなくなった。ところが相方の方は全然よくならない。一瞬で治ってしまった僕からすると、どうしてもその痛みが理解できず、「まったく大袈裟なヤツだ。これだから一般人は困るぜ」と笑い飛ばした。この日の夜に薬局でクラゲに刺された用の薬をいちおう探してみたが、割と高かったから自然治癒に任せる方向で落ち着かせた。

後日談だが、相方は沖縄から帰った後もひかない痛みに耐えかねて皮膚科にかかり、医者に「どうしてこんなになるまで放っておいたんですか?」と叱られたらしい。この場合、やはり僕のせいと言うのだろうか?ちょっとだけ申し訳ない気持ちになった。もう少し人の痛みを理解できる人間にならなくてはいけない。

 

こうして、一瞬にして海から追い返されてしまった僕らは、スゴスゴとホテルに引き上げて、ホテルのプールでひと泳ぎして1日目を終えた。