第382回:早慶戦
今年も早慶戦を観に講道館に行った。11月18日、講道館杯の次の週の土曜日だ。何度か説明しているが、この柔道の早慶戦、僕の在校中は勝ち抜き戦と点取り戦を毎年交互に、会場は早稲田と慶應の道場を2年おきに使用して開催していた。僕が1年時は早稲田の道場で点取り戦、2年時は早稲田で勝ち抜き、3年時は慶應で点取り、4年時は慶應で勝ち抜きという具合だ。それが、僕が卒業した次の年から、全て勝ち抜き戦となり会場は講道館を使うことになった。選手たちの目立ち具合で言うと何となくズルい気もするが、観客となった今では、早慶の普通の道場でギュウギュウになって応援するよりは、講道館の観覧席でノンビリ観られるのがありがたい。
結果は早稲田が2人残しで勝利。これで4年連続早稲田の勝利である。早稲田の残した選手2人は、無差別の学生団体公式戦でレギュラーに入るレベルらしいから、今回の勝負はそれなりに差があった戦いと言っていいと思う。
毎年思うことだけど、全体を通じてやっぱり早稲田の方が完成されたチームに見える。一つ一つの対戦内容にしても、勝ち抜き団体戦の闘い方にしても、細かいところが徹底されているのだ。具体例を2点出そう。
1点目は、早慶戦ならではの足持ちOKルールへの適応力が違う。早稲田の選手の足持ち系の技術は一朝一夕で身に付くレベルのものじゃない。おそらく彼らは公式戦と早慶戦を区別して、今となっては多くの選手の慣れていない奇襲技として、あるいは各上の選手に対する指導を取られない逃げの一手として、足持ちを練習してきたのだろうと思う。
2点目は、早稲田は、勝ち抜き戦の鉄則「最後は引き分けで終わる」が実践できていた。勝ち抜き戦はいかなる場面でも抜かれることがあってはならない。一人、二人抜いた後、体力的に限界であっても、次の選手と引き分けて終わらなくてはならない。そこで抜き返されたら自分の稼いだ一点を返上するのと同じだからだ。また、相手が自分より強いのであれば、自分の柔道を押し殺してでも引き分けて止めなくてはならない。絶対に後ろに回してはいけないのだ。これに関しては、体力的に、言葉で言うよりはるかに難しいことだけど、意識として徹底するだけど違ってくるはずだ。
さて、この早慶戦、来年はどっちが勝つんだろう。聞いたところによると、新入生は慶應の方が少し良いらしい。そりゃ慶應が勝った方が色々と気持ちがいいけれど、僕は何より、大将戦にもつれ込むくらいの接戦が見てみたい。
両校とも、これからの一年間、頑張って下さい。