第433回:酒の味

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酒の味が分かる男になりたい。味が分からないにしても、せめて酒の種類やブランドの分かる男になりたい。最近こう思うことが増えてきたのは、きっとサラリーマンらしく普通にお酒をたしなむ機会が増えたからだ。今まで、柔道関係のメンツで値段の安さだけを追求したような居酒屋で、味わう暇もないままに浴びるように飲んでいた僕にしてみれば、成長したと言えなくもない心境の変化だ。

この歳にもなれば、会社の人や友達と、ちょっと小洒落た店に入ることもある。メニューを見ると、聞いたことはあるような、でもそれが何の酒なのか、何と何を混ぜたやつなのか、などなどさっぱり分からないカタカナの酒が並ぶ。今さら知ったかぶりをするのも面倒で(極たまにするけれど)、いつもビール飲んで、ハイボール飲むしかない。どっちも好きだから別に良いんだけど、何だか少しもったいない。自分の知らない、もっと美味しいものがあるかもしれないのに。

 

とは言え、酒の名前や種類なんて、いったいどうやって覚えるもんなんだろう。自分で地道に一つ一つ試していくものなんだろうか。とは言え味音痴の僕にとってそれはさほど楽しい活動には思えない。お金もかかりそうだ。師匠と呼べる人でも作ろうか。

先に書いたように会社の人や友達なら大した問題にはならない。けど、デートなんかで少し良い店に行った時なんかに何にも分からなくて赤っ恥をかく前になんとかしなくては。小さいけれど割と深刻な僕の悩みである。