第436回:熱海①

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今月始めの週末、一泊二日で熱海に行った。仕事上の大きなイベントがあって、何とか大過なく(小過はいくつかあったかもしれないけれど)乗り越えたご褒美にベタな温泉旅行というわけだ。

 

土曜日朝8時起床。0カロリーサイダーを飲み、村上春樹流に「長い小便をした後に、いつも以上に丁寧に髭を沿って、熱いお湯で顔を洗って、少し頭をスッキリ」といった朝を気取ったのち、9時半に家を出て愛車で相方を拾った。渋滞もなく休憩を挟みつつも3時間かからずに熱海駅に到着した。

今回の旅も例によってプランなし。熱海駅から梅の咲く熱海銀座という商店街をぶらつき、揚げ蒲鉾と饅頭を食べ、晩酌用のつまみと地酒を買い、宿に入った。

宿は、いわゆる熱海の中心街から少し外れた山の上にある温泉宿。これまで僕が行ってきたのに比べると少しだけ“良い”宿で、ちゃんと朝晩のご飯も付けた。ご褒美の旅だからいいのだ。

 

浴衣に着替えると相方に浴衣の着こなしと帯の結び方を褒められた。西郷どんに見えるとも言われた。20年間毎日帯を締めてきたのだから当然だ。確かに、脱衣場などで他の客の着こなしなどを見ていると、慣れていない感が否めない。それからお決まりの卓球をしてから風呂。風呂は貸し切り、静かで快適。飯を食って、部屋で下らない映画を観ながらチビチビ酒を飲んで、また風呂に入って、外の山道を少し散歩して、星を眺めて。特に書くような面白いこともない、平和で退屈な、平和で退屈故に贅沢な温泉旅行を楽しんだ。