第477回:台風の夜に

Pocket

各地に甚大な被害をもたらした記録的な台風19号がちょうど東京の上を通過した夜、僕はいつも通っている西小山のジムにいた。

僕が住んでいるアパートのある武蔵小山は幸い、氾濫するおそれのある河川たちからはだいぶ高いところにあるから水害系の心配はない。ただ、アパートがいくぶん年寄りで、風が吹くたびに家が揺れ、いまにも吹き飛んでしまいそうだった。雨の音もうるさくて、とてもじゃないが寝られるような状態でもなかった。ジムにいて忙しくしていた方が気もまぎれ、安全な気がしたのだ。

当然、傘など差せるはずもなく、水を通さない減量着(サウナスーツ)を着こんで、ビショビショになりながらジムに向かった。道でもジムでも誰とも会わなかった。車さえも通っていなかった。非日常的な風景の中を歩いた。

ジムでは一人でテレビのニュースを見ながら2-3時間ほどバイクを漕いで、いつものように汗の水たまりを作った。自分の家族が住んでいる家はそれぞれとりあえず危険な状態ではないようだったから、僕の心配は、今年5月に完成したばかりのパーク24の新本社だった。なんせ目黒川の真横に建っているのだ。最新の機械を導入した地下駐車場もある。目黒川が氾濫したら悲惨なことになるのは目に見えている。テレビとWEBでLIVE配信されている水位を見ながら過ごした。

 

結局、目黒川はなんとか持ちこたえてくれた。ネットで読んだところでは、ここ数年の間に河川の水を一時的に溜めておける地下貯水槽なるものが建設されたらしく、今回の無事はそのお蔭によるところだったらしい。それまではちょっとした大雨で氾濫して、新本社のあるところなどは遥かに通り越して五反田駅の改札あたりまで浸水する地域だったらしい。本社移転が今年になってからで本当に良かった。

 

最後に、今回の台風で被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げ、一日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。