第495回:柔道家的視点

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この外出自粛の時間を使ってやたらとドラマや映画を見ている。今まで録画していたテレビドラマを見終わると、huluにあるもの、たまにTSUTAYAなんかにお世話になって、最近そこそこ話題になったものは手当たり次第に見漁っている。

そんな感じでこの前、映画”ジョン・ウィック”シリーズ、今のとこ3作品を一気に観た。ご存知かもしれないが、キアヌ・リーブス演じる元敏腕殺し屋の主人公が、悪い組織にちょっかいを出されたことにブチ切れて、復讐に走り回る映画だ。複雑な要素はほとんどない。ただただたくさんの銃弾が発せられ、たくさんの人がお亡くなりになる。R15らしく、確かに血飛沫も上がるから、そういうのが苦手な人にはオススメしない。

この映画、最初のアクションを観た時すぐに「おや?」と思った。キアヌの戦い方のそこかしこに柔道っぽい投げ技が使われていたからだ。1作目を観終わる頃には「間違いない」と思ってネットで調べてみた。案の定、撮影にあたって柔道・柔術の練習をしたらしい。1作目の映画宣伝のための訪日の時に、オリンピック3連覇の野村さんが黒帯を送った云々の記事まで出てきた。

「やっぱりな」と満足して2-3作目を引き続き観たわけだけど、不思議なことに、いざ“柔道の投げ技だ“と思って見てみると途端にチャチく観えてくる。「いやいや、そんな風に人は投げられないよ〜」とか「今のは、相手の方が飛んでくれたね」とか、得意の捻くれた感想ばかり浮かんでくる。もちろん、素人相手に本気で技をかけたことなどないから、あるいはそんな風に簡単に人は投げられるのかもしれないけれども。まぁ職業病の一つだ。

とは言え、さすがキアヌと言うか、さすがハリウッドと言うか、日本の映画やドラマなんかでたまに見かける柔道っぽい投げ技とは比べものにならない完成度ではあるから、結構マジで練習はしたのだろう。どうやらまだ続編がありそうな終わり方をしたから、次までにキアヌの柔道がどれだけ成長しているか、いちおう先輩柔道家として観守っていこうと、偉そうに考えている。