第505回:ギタリストへの道のり②

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2020年初め頃、最初に買った楽譜集が物足りなくなってきて、無料アプリを練習に使うようになった。有名なJ-POPであればほぼ全て歌詞とコードが見られ、弾き語り用に、自動スクロール機能までついている優秀なアプリだ。このアプリの中には各楽曲”初心者向けコード譜”と”通常コード譜”があって、とりあえず初心者の方をせっせと練習している。初心者向けとは言え、15-20個くらいのコードが出てきて、ちゃんと原曲通りのキーで、転調などもちゃんとあるから、”初心者に毛の生えた程度”にはちょうどいいレベルだ。iPadでこのアプリを見ながら思いつく曲をひたすらに弾く練習で、それがまた完璧ではなくてもできるのが楽しくなった。それが、コロナのせいで家で過ごす時間が多くなったのと同じ時期。やることもないからとにかく弾きまくる。我ながら少し「調子に乗っている」状態である。

そんな中、6月前半、会社の中間決算発表を前に仕事が忙しく遅い帰宅が続いたある夜、いつものようにソファでかき鳴らしていると、隣の家のベランダから「すみません、遅い時間は静かにしてもらえますか」と注意された。この家で2.5年生活してきて、隣の音が気になったことがなく、勝手にこの家はある程度音を出しても大丈夫だと思っていたのは僕の大いなる勘違いだったようだ。ちょうどいい季節で、ついつい窓を開けたままにしていたのが主な要因かとも思うが、とにかく100%僕が悪いという自覚のもと、平身低頭謝った。ギターだけならまだしも歌も歌っていたし、何より、1年前のスーパー下手くそな時代から我慢してもらっていたのか、と非常に申し訳ない気持ちになった。それからは夜は必ず窓を閉め、ピックではなく指で自分に聞こえるか聞こえないかくらいの音量で練習するようにしている。ごめんなさい。