第507回:帰省
東京都から出ることなく、自然と遊ぶことのできる僕の実家—青梅奥多摩は、このコロナ禍において最適な帰省先かもしれない。この8月はそんな観点で友人を連れ何回か実家の方に足を伸ばしてゆっくりさせてもらった。帰省とはいえ、運動もしない上に食生活にもさほど気を使わない高齢な両親や、昨年生まれたばかりの赤ん坊を抱える姉家族を危険に晒すわけにはいかないので、家族との濃厚接触はなし。泊まるのは数年前に亡くなった祖父母の家である。今ではイベント事でしか使っていない空き家だ。実家から1km弱のところ、僕の小学校時代の通学路の途中に祖父母が晩年建てた家で、ジャングルのような大自然に覆われている。デッキからの景色はまるでジュラシックパーク。デッキのすぐ下には多摩川に注ぐ小さな沢があって、綺麗な水が流れている。小さな魚やサワガニなんかはもちろん、僕がまだ青梅に住んでいた頃はチラホラと蛍なんかも飛んでいた。今でも蛍は飛ぶんだろうか。
ジャングルに覆われていてももちろん電気・ガス・水道なんかのインフラは完備、テレビもWi-Fiもあり、キッチンは電化されている。Google HomeやNintendo Switchとリングフィットアドベンチャーまである。例によって新しい話題の物に目がない父が使いもしないのに買ってみた代物たちなのだが、僕のアパートの部屋より最新の遊びグッズが充実している。ちなみに滞在中一度だけNintendo Switchを点けてみた。話題の「あつまれ どうぶつの森」が入っていて、いちおう村の様子も見てみたけれど、長らく放置された廃村のようだった。
そんな祖父母の空き家に滞在して、デッキでこじんまりとしたBBQをしたり、下の沢に降りていって暴れまわったり、小学生の頃にしまくったような遊びをする。これが都会で疲れた我々にはとても貴重で楽しいのだ。 たくさん人がいる都会でなかなか自由に遊ぶことができないしばらくの間は、ちょいちょいここを使ってこっそりリフレッシュしようと考えている。