第529回:ドラマの話

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最近めっきり寒くなってきて、とてもじゃないけれど外を走る気分にはなれないから、ランニングは基本的にジムのマシーンでしている。しかし外でのランニングに比べると、マシーンの方がずっとしんどい。景色が変わらないからなのか、前に進んでいる感覚がないからなのか、理屈はよく分からないのだけれど、外で走る時のようなスピードも出ないし、同じ距離を走るのもキツくて仕方ない。明確に表示される速度と時間と睨めっこしながら苦痛の時間を過ごす。

そんな苦痛をなんとか紛らわせるため、備え付けのテレビを点けたり、iPadでYouTubeのライブ映像やら、Netflixのドラマや映画やらを観ながら走る。こういう時はとにかく妥協しないように、自分との戦いに負けてしまわないように、モチベーションが少しでも上がるようなものを観ることが何よりも重要だ。

基本、Mr.Childrenのライブ映像やアクション系の映画を見るのだけれど、それだけだと飽きてきてモチベーションを保てない。そこでギターの弾き方解説の動画や、ミステリーやらヒューマンドラマやら、色んなジャンルを模索してきたのだが、最近、思いっきりメンヘラチックなラブストーリー系のドラマを試している。

そもそも現役を引退した僕がまだこんなに頑張ってトレーニングしているのは体型を維持向上させるためで、体型を維持向上させたいのはモテたいからである。であれば胸焼けしそうなラブドラマであっても、自分が目指しているものからそう遠くない世界だというロジックで、予想したよりはけっこうモチベーションが上がるのだ。歯が浮くようなイタいセリフに「うえー」とか、あり得ない運命的な展開に「そんなバカな」とか、思わずこぼしながら走っていると、いつの間にか時間が過ぎている。

このご時世、感染症拡大防止のための対策として、ランニングマシーン一台一台が半透明のアクリル板で仕切られている。そのおかげで、たとえどんなに恥ずかしいドラマを見ていても、一人で変なリアクションをしていても、周りの人にバレる心配がない。コロナ禍における数少ないメリットのうちの一つ、ありがたい。

とは言ってもこのラブドラマを見ながら走るブームも、きっともう数ヶ月で飽きてくるに違いない。また新たなジャンルを発掘していかないと、である。