第613回:紅葉祭り④

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25時に銭湯を後にして三崎港に向かった。深夜で他の車も少なく1時間もかからずに港に着いた。少し車を出て海沿いを歩いてみたりもしたけれど、これもやっぱり寒すぎて一瞬で退散した。釣り人が何人かいたけれど、この時間に、この寒さで一人ボーッとするというのは、僕にはちょっと理解できない趣味だなと思った。車のライトで海を照らすと、光に反応して小さい魚が一斉に飛んだ。もちろん何の魚かなんて知らないし、なんで跳ねるのかもよく分からないけれど、一斉に飛ぶ後継が面白くてしばらくチカチカ遊んでから、車の後部座席を平にして布団を敷いて仮眠を取った。

車の中でなんて絶対に寝られないだろうと思っていたが、思った以上に眠かったのか意外とすんなり眠ることができた。とはいえ1~2時間程度の話。市場の明かりとお客さんを呼び込む元気な声で起きた。時間はまだ4時になっていなかったけれど、どこからか客も集まり賑やかな売買が始まっていた。相方を叩き起こして、心許ない上着を羽織り僕らも市場に乗り込んだ。

三崎港の市場は、これまで僕が行ったことのある沼津港や太刀洗港の市場に比べるとだいぶ小さかった。20分もあればグルっとできる。1~2時間くらいしか寝ていないぼんやりとした意識の僕に取ってはそれくらいがありがたかった。三崎といえば、のマグロと、野菜なんかをチラホラ買って、市場の隅にある出店で朝ごはんを食べた。小さい海鮮丼と豚汁とマグロカツとマグロの入ったチマキを食べた。山中湖で食べたものたちとは違って、豚汁やらチマキが熱々で、幸せだった。朝ごはんとしてはかなりボリューミーだったけれど、大して寝ていない身としては、一睡もせずに飲み明かした朝の4時に食べるそれと変わらず美味しく頂いた。

市場での用事を済ませるとそのまま帰路についた。日曜早朝の上りはやはり所々で混んでいた。けれど、まだ早朝で自分には日曜日一日が丸々残っていると思うと良い気分だった。